フィンドレイター 1823 ファウンダーズ 43% 特級表記
1823 FOUNDERS
BLENDED SCOTCH WHISKY
1980's (1988-1989)
750ml 43%
グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:不明
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★(5)
味:マイルドな口当たりから黒糖ふ菓子のような乾いた甘味。微かに無花果のような甘酸っぱさもあるが、基本は緩い甘さ主体。余韻は黒飴のとろりとした甘味を、ドライな質感が引き締めて染み込むように残る。
飲みやすくマイルドなブレンド。こういうのをロックや水割りにしていたんだろうという昭和の味。淡くカラメル系のシェリー感がありつつ、熟成感もデラックスクラスとはいかないまでも感じられる。個人的にはもう少し変化が欲しいところだが、特級時代の末期流通にしては良くできている。
当時インヴァーゴードンディスティラリー傘下だった、フィンドレイター社のリリースした日本向けボトル。
輸入業者および取引先にあるセンチュリートレーディングカンパニーは、三越伊勢丹グループのインポーター。現在はワインを中心とした輸入を担当していますが、当時はこのフィンドレイター社と伊勢丹のタッグで、洋酒ブームを背景に相当売り上げを伸ばしたようです。
ファウンダーズリザーブは、直訳すると創業者や創始者の貯えという意味。ですがウイスキー業界でよく見るそれは、創業者がストックしていた原酒が使われているわけではなく、いわゆる復刻版でレシピや味を再現したという位置付けのブランドに使われることが多くあります。
今回のボトルも、フィンドレイター社のルーツとなる酒類問屋が創業した1823年をブランド名としたものではありますが、1823年当時の原酒を使ったわけでも、味を再現した・・・なんてことも多分なく。それっぽい名前をつけた、というのが実態と考えられます。
(そもそも、フィンドレイター社の創業当時はウイスキーの製造・ブレンドを行っておらず、それが始まったのは1826年からという話も。。。)
主たる構成原酒は、同社に関連するディーンストン、タリバーディン、ブルイックラディ、そしてグレーンはインヴァーゴードン。この中では、特にディーンストンが効いている印象。
フィンドレイターはマイルドかつスモーキーさの少ないタイプのものが多く、このファウンダーズ1823も同様の構成。特に若さは感じられず、適度な熟成感(8~10年程度か)味は比較的リッチにまとまっています。
このブレンドのポジティブなところは、1980年代後半という多くのブレンドが味を落とした時期に、そこそこのクオリティを維持しているという点にあります。
淡いながらも効いたシェリー感、マイルドでのみやすい味わいに昭和のウイスキーシーンを感じる。当時から飲んでいた方からすれば、味わいも含めて懐かしいボトルなのだと思います。
コメント
コメント一覧 (4)
初めてコメント、質問させていただきます。
フィンドレイター 社が、インバーゴードン社傘下に入ったのは何年からなのでしょうか?
また、現在もインバーゴードン社の参加なのでしょうか?
1991年に傘下に入ったという情報を見かけまして……。
また、インバーゴードン社は現在もあるのでしょうか?
1993年に、インバーゴードン蒸留所ごとホワイトアンドマッカイに買収された、という情報を見かけたのですが、
シングルモルト大全には95年にタリバーディン蒸留所をインバーゴードンからホワイトアンドマッカイが買い取る、などと書いてあり。
色々なサイトを探したのですが、どこも書いてあることが違い、もし詳しいことをご存知でしたら教えていただきたいです。
本当にお手隙の際、ご存知でしたら、お返事頂けると嬉しく思います。
コメントありがとうございます。
私も書籍やWEBの情報しかなく、フィンドレイターがインバーゴードン(I社)に版権を譲渡した正確な時期は、正直なところよくわかりません。以下は現在ある情報を踏まえての考察となります。
まず、WORLD WHISKY BOOKなどの記載では「インバーゴードン(今日のホワイト&マッカイ)社に買収される」とあるため、時期としてはI社が単体で存在していた時期だと考えられます。
そうなるとI社がいつホワイト&マッカイに買収されたのかですが、これは海外文献の情報を複数参照すると、1991年に始まり1993年に完了した模様。企業間の合意ではなく敵対買収であったことから、多くの債権者と調整したものと考えられ、2年間の時間がかかったのではないかと考えられます。
一方、渦中のI社は、1980年代後半にグレンアラヒーをペルノリカールに譲渡するなど、ウイスキー冬の時代の影響を受けて体制を整理しています。こうした最中で新たに企業を傘下に取り込んでいたとは考えにくいのですが、逆にこれまでは原酒の提供契約だけだった企業を取り込むことで、企業としての価値を高めて買収に対抗した可能性もあり、フィンドレイター社の一件は1980年代後半から1991年あたりまでと考えるのが自然かなと思います。
なお、大全に書かれている1995年ですが、大全は初版・第2版の情報精度が粗い時代の名残が残っていたりするので、現在公式に発表されている情報と違う記述が無いわけではありません。
イギリスの企業情報誌では、1994年版までI社の記述が残っています。事後処理のためか、単に反映が遅れただけか、1995年版でそうした記述が無くなることから、これをもって権利譲渡が完了したと判断されていたとすれば、些か強引ですが1995年という数字が出てきた根拠になるのかなと思います。
参考になりましたら幸いです。
自分で情報を探しても、見つけることが出来ずで…….
分かりやすく解説して頂いたおかげで腑に落ちました!
本当に有難うございました!
これからもブログ楽しませて頂きます。
お役に立てて良かったです。
ちなみに、タリバーディン1995年の記述は、第2版(2002年発行)のモルト大全も同様の記述です。一方で、2年くらい前に発売されたブレンデッドウイスキー大全では、ホワイト&マッカイのぺージで、タリバーディン買収が1994年になっています。
もう何が何だかということで(笑)