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ABERLOUR - GLENLIVET 
SINGLE MALT 
12 YEARS OLD 
1980's
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後2週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6ー7)

香り:スウィートで若干ドライな香り立ち。ダークフルーツのレーズンを思わせる甘さ、カカオチョコレートやカラメリゼの甘味とほろ苦さの奥には、微かにエステリーなニュアンスも感じさせる。

味:スムーズでスウィート、粘性のある口当たり。口の中で盛り上がるような厚みと広がりがあり、洋菓子やオランジェット、カラメリゼ、ほのかにレーズン。シェリー樽由来の甘味が広がる。余韻はウッディでほろ苦く長く続く。

バランスの良いシェリー系のシングルモルト。ファーストフィルとセカンドフィルの古き良き時代のシェリー樽原酒を主体に構成されていると思わせる香味構成は、適度なシェリー感と熟成感、深みのある甘みでスタンダードボトルとして申し分のない完成度である。是非ストレートで。

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バーボンでBottled in bond表記に特別感があるように、スコッチでも古い世代の表記に同様の印象を感じるものがある。UnBlendedやPure Highland Maltなど数ある中で代表的なものが、◯◯-GLEN LIVET表記です。

もはや解説の必要もありませんが、19世紀のスコッチウイスキー市場では、GLEN LIVET蒸留所の人気にあやかろうと蒸留所の名前の後に、GLEN LIVET表記をつけるという広告戦略が多くの蒸留所で見られました。
その文化は20世紀になっても一部の蒸留所で残っており(ケイデンヘッドなどのボトラーズでは継続的に使い続けているケースもあり)、代表的なスペイサイド銘柄はマッカラン、グレンファークラス、ダフタウン・・・そしてこのアベラワーは、1970年代後半から1980年代前半に流通したブランデーに似たデザインのボトルの時代を除き、1990年代前半あたりまでGLEN LIVET表記を使っていたようです。

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(1970年代前半流通のアベラワー・グレンリベット。特徴的な角瓶で、43%以外に50%仕様のものや、単一蒸留年表記のものもあるなど、当時のオフィシャルとしては珍しいスタイルだった。その香味はパワフルで濃厚なシェリー感が特徴であり、現在リリースされているアブナックのはしりとも言える。)

このGLEN LIVET 表記があるからスペックが異なるかというと、そうではないのが前述のBIBと異なる点ですが、スコッチウイスキー好きにとってなんとなく期待させられる特別感があるのが、この表記の持つ特徴と言えるかもしれません。

さて、今回のボトルの流通時期は1980年代中頃(おそらくラベルの期間は1985~1990年あたり)というところ。
蒸留時期は1970年代前半から中頃となる訳ですが、1973年に同蒸留所は拡張工事を行いスチルを2基から4基に増やしているだけでなく、設備全体も近代化を実施。資本としてはその翌年にペルノリカール傘下に移っており(近代化されたのはペルノリカール傘下に移った後とも言われる)、何れにせよ丁度蒸留所に変革があった時期に仕込まれたウイスキーということになります。

アベラワーはホワイトヘザーなどの構成原酒として主に使われてきましたが、古い時代のそれにはよりリッチなシェリー感が備わっているものの、今回のものはシェリー感はそれなり。しかし上記70年代のシングルモルトしかり、オールドのそれらに備わったシェリー香の共通点は今回の時代のアベラワーにも備わっていて、酒質のモルティーさとに由来する厚みと合わせてバランスの良い味わいを楽しめる、オフィシャルスタンダードとしてレベルの高いボトルだと思います。

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今日のオマケ:メアンダー・モスカート
南アフリカの甘口スパークリング。
日本ではマスカットで知られるアレクサンドリア(ミュスカ・ダレキサンドリー)を使っており、香りは熟した洋梨、ライチ、あるいは王林などの酸味の少ない爽やかな甘味を感じさせる。一方で口に含むと炭酸の刺激のなかにジューシーで蜜のような甘味、糖分しっかり。もはやこれは炭酸白葡萄ジュース。
めちゃくちゃスイスイ飲めるが度数はビールより高い7.5%なので、お酒に不馴れな方には危険なワインだと思う。

先日のラグビー南アフリカ戦、南アフリカの酒でも飲みながら見ようかと思うも手持ちがなく、子守りの合間に近所のカクヤスにいったところ唯一あったのがコレ。
15年前の自分だったら感動したんだろうなあ、という味。今は1杯でお腹一杯な甘さ。赤を買っておけば良かった。。。

ちなみに試合は残念ながら日本が敗退してしまいましたが、南アフリカの圧倒的パワーの前にも諦めず、必死に立ち向かう姿に、強くなるために重ねた努力の日々を重ねてただただ感動。サッカー、野球、テニス、スポーツ観戦はよくしますが、負けた試合に感動して泣いたのは初めてでした。
ありがとうジャパン!これからも応援します!