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LONGMORN 
YEARS 15 OLD 
Pure Highland Malt 
1980-1990's 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1週間以内
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)

香り:軽い香ばしさと柔らかい酸を伴う麦芽香。若干青みがかったニュアンスがあるが、合わせてしっとりとした土っぽいピート香の奥には、ほのかな南国感はグアバ、パイナップルを思わせるフルーティーさが時間経過で開いてくる。

味:マイルドな口当たり。柔らかいコクとともに広がるのは、香り同様に香ばしい麦芽風味とほのかなピートのほろ苦さ。徐々に林檎のカラメル煮を思わせるフルーティーさに、トロピカルなフェロモン系のニュアンス。
余韻はほろ苦く、グレープフルーツと若干の植物っぽさが顔を出す。長いフィニッシュ。

加水のウイスキーとして完成度の高い1本。負担のない飲み口、柔らかいコクのある味わいと飲み手を飽きさせない複雑なアロマ。失われた南国系のニュアンスも備わっている。
全体としては突き抜けるタイプではなく、決して洗練されている訳でもない。田舎っぽいピーティーさも感じられる、オールドスタイルにも近い構成だが、逆にそれが尊い。加水不要、ストレートで。

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1980年代、シーグラム傘下となっていたロングモーン蒸留所からリリースされたオフィシャルボトル。北米や免税という限定した地域向けと思われる仕様で、通常ラインナップとして広く展開されたのは、その後1993年にリリースされたダンピーボトルの15年からだったようです。
日本市場はというと、遅れて1990年代に並行品が入っていたのか、その当時のものがリユース市場等に見られます。

TAXシールの表記などから、今回のボトルを1980年代後半の流通と仮定すると、蒸留時期は単純計算1970年代前半ということになります。
ロングモーン蒸留所の1970年代は増産と効率化、それによりキャラクターを近年寄りにシフトさせた時代。1972年にスチルを4基から6基に増やすと共に、再留側の加熱方式を石炭直火からスチーム加熱方式に変更(初留側は1994年にスチーム方式に変更)。また1974年にもスチルを2基増やし、トータルで倍増させています。

これらの変化が酒質にどのような影響を与えたかは諸説あると思いますが、1972年をロングモーンにおける世代の境目とすると、旧世代のものは麦感の厚さ、何よりトロピカルなフルーティーさが最大の特徴で、長期熟成でシェリー樽の濃い香味のなかであっても失われないもの。一方、73年以降急激にその特徴が変化したわけではありませんが、ボトラーズリリースを見ると1980年代にかけて徐々にドライな傾向が強くなっており、麦や樽以外に蒸留行程の変化も無視できない要素であると感じます。

さて、今回のボトルに使われている原酒は、上記の整理で考えれば両世代のものでしょう。主たる樽はアメリカンオークで2ndないし3rdフィルのシェリーバットやホグスヘッドと思われ、樽感の強く主張しない仕上がり故にベースの香味が分かりやすいですね。
加水ながら厚みとコクのある麦芽風味に、ロングモーンに求めるトロピカルなフルーティーさがじんわりと、しかし確実に備わっている。その後リリースされる15年ダンピーや16年に麦芽風味は共通する要素として感じられますが、該当するフルーティーさは系統の違いに繋がっています。