ジェムソン 1780 12年 1980年代流通 43%
SPECIAL RESERVE
OLD IRISH WHISKEY
Aged 12 years
1980-1990's
750ml 43%
グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6)
味:スウィートだが、香り同様トーンの高い刺激を伴う口当たり。色の濃い蜂蜜のような甘味に加え、レーズンを思わせるドライフルーツのアクセント。ケミカルなニュアンスはパイナップルシロップ、干し草や紙のようなニュアンスも。
余韻はウッディでスパイシー、ハッカを思わせるスッとしたアロマ。ドライなフィニッシュ。
グレーンを思わせる甘味と軽さに加え、やや青みがかった植物感。3回蒸留の原酒らしい淡麗さとトーンの高い独特の刺激、後はアイリッシュらしさであるケミカルなニュアンス。ここにシェリー樽由来の甘味が加わって、スモーキーなスコッチとは違う意味で個性のあるしっかりとした味わい。小量加水するとよりスムーズで、ロックも案外悪くない。
1980年代にラベルチェンジしてリリースされた、ジェムソンブランドのハイエンド。その前は黒っぽいラベルで地味目のデザインでしたが、この時代のものは近年のジェムソンに共通する色使いとなっています。
背面ラベルにバーコードが書かれているので、流通時期を1988年、1989年、1990年頃と仮定すると、蒸留は単純計算1977年あたり。1975年~1976年はジェムソンの用の原酒を生産していたボウ・ストリート蒸留所が閉鎖し、新たに建設された新ミドルトン蒸留所に切り替わった時期です。当時のアイリッシュは、増産に沸くスコッチ業界とは反対に、アイルランド独立やアメリカの禁酒法、そして輸出規制といった半世紀にわたる逆風の影響を受けて厳しい状況下にあり、これを打開すべく業界再編を進めている最中にありました。
今回のボトルが、新旧どちらの蒸留所の原酒を使っているかはわかりませんが、さらに古いジェムソンよりも草っぽさや野暮ったい味わいが抜け、淡麗でクリアな酒質も垣間見ることが出来るため、新旧のハイブリットか、新しい蒸留所で生産された原酒がベースかなと思います。
なお現行品のジェムソン12年は2014年に終売となっており、今は残された在庫が店頭に並んでいる状況。当時価格からすればかなり割高なものも見られます。
その近年流通品の情報では、構成原酒のうち75%がシェリー樽とのことですが、おそらくそれはこのボトルも、そしてさらに古いリリースでもそれは変わらないのでしょう。
香味にはシェリー樽由来のリッチで甘やかなフレーバーがあり、アイリッシュらしい植物っぽさ、そして3回蒸留がもたらす淡麗さとトーンの高い刺激と混じっている。近年流通品より飲み口はソフトでありながら、はっきりと強い個性を味わうことが出来るのです。
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