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GLENTAUCHERS 
Ballantine's Single Malt 
Aged 15 years 
SERIES No,03 
700ml 40% 

グラス:アランノベルティグラス
時期:不明
場所:モルトバー ヒーロー
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでドライな香り立ち。序盤は樽由来の加熱した林檎のようなあまやかなアロマが感じられるが、次第に線が細く繊細で、微かにスモーキーで干し草っぽいウッディネスも感じられる。

味:フルーティーでオーキー、柔らかいコクのある口当たり。リンゴのコンポートやアプリコットを思わせる甘味。徐々に干し草やナッツのアクセント。余韻は心地よくドライで華やか、軽やかな刺激を伴って長く続く。

柔らかいコクと華やかなフルーティーさ。シェリー樽原酒とバーボン樽原酒が上手くブレンドされている。このバランス、バランタインの看板は伊達じゃないか・・・。一方で加水するとシーズニングっぽい甘みと乾いた植物のようなニュアンスが目立つ。この変化は好みが別れそうである。個人的には加水不要、ストレートで。

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日本では6月4日に正規品が発売となった、バランタインシングルモルトシリーズ。ただ、本国での発売は2年前で、並行品として先に日本に流通したのがミルトンダフとグレンバーギー。そして発売していたのかすらわからなかった、目立たない子、不遇な子がグレントファース。。。
調べる限り、同蒸留所のオフィシャル扱いでまとまった量のシングルモルトがリリースされるのは初めてであるにも関わらずあまり話題になっていません。

まあそれも仕方のないことでしょうか。辛辣なことを言えば、グレントファースと聞いて期待値が高まる日本の愛好家はそう多くないのではないかと思います。
好きな蒸留所でミルトンダフやグレンバーギーを挙げて違和感はないのに、グレントファースをあげると「なぜ?」という返しは間違いなくあるでしょう。数年前、バランタインからキーモルトを際立たせた限定ブレンドが順々にリリースされた際も、日本市場はスキャパ→ミルトンダフ→ときてグレンバーギーではなくグレントファースエディション。誰が買うんだよと某酒販店員が嘆いていた(実際、4種類のなかでは当時のSNS等の反応が最も薄かった・・・ように感じられた)のが印象的でした。

また、所属もブキャナン(DCL)から、1989年アライド→2005年ペルノ(シーバス、バランタイン)と移行してきたなかで、バランタインブランドは”魔法の7柱”の印象が強すぎて、現行4種のうち唯一外様であるグレントファースは最も目立たない。
かつてはロイヤルハウスホールドのキーモルトでもあった蒸留所でありながら、現在はかのように位置付けにあるわけです。

ただ、そんなグレントファースも、今回のリリースで多少印象が変わるかもしれません。
理由は簡単、純粋に美味しいから。コクのある甘味とオーク由来のフルーティーさがバランス良くまとまっており、微かなピート香がアクセントになっている。メーカーコメントの"バランタインの繊細さ"はともかく、少なくともドライでボディの軽かった過去2作よりレベルは高いです。
オーク由来のフルーティーさはバーボン樽系統の熟成原酒と推察。ここに少量のシェリー樽原酒が加わって”コクのある甘味”に繋がっているようで、これがストレートではバランスよく双方の良さを発揮している。突き抜けて旨い訳ではありませんが、家でゆっくり飲むには価格的にも申し分ない出来だと思います。

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今回のテイスティングスポットは、新橋駅前ビル地下1Fにある、モルトバーヒーローさんです。
丁度先日開店1周年だったという同店。ボトルの本数こそ70本程度とそう多くありませんが、ウイスキー好きのツボを押さえたようなラインナップ(どことなく信濃屋色の漂う)を500円~1000円程度と安価な設定中心に提供しています。

さながら、安月給安小遣いの我々サラリーマンのヒーロー。せんべろならぬ、1500円べろってところ(笑)。駅から地下道直結で徒歩一分、雨に濡れず寄り道出来るのも嬉しい。
新橋駅前ビルの地下はなかなかにディープな空間が広がっているのですが、そのせんべろ系のお店で飲んだ帰り、「ちょっと1杯」でシングルモルトが楽しめる、なんだか楽しいお店でした。
今回は閉店間際に伺ったので1杯だけで撤収しましたが、また今度遊びに行きたいですね。