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NIKKA WHISKY 
CORN BASE
(Aged over 8 years)
1980's
500ml 43%

グラス:国際企画テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6)

香り:ややドライで溶剤っぽさを伴う香り立ち。スワリングでメロー、メープルシロップの艶やかさとパウンドケーキを思わせる穏やかな甘さ。微かにポプリのようなフローラルな要素も伴う。

味:スムーズでメロー、そしてウッディでドライな口当たり。オレンジジャムのような粘性、薄めたメープルシロップ、徐々に焦げた木材のビターなフレーバー。
余韻はウッディでドライで干し草、ビターで長く続く。

要するにバーボン。穀物由来のメローな甘味が強く、そこに柑橘系のニュアンスやビターなウッディネスも備わっている。セメダイン系の刺激もノージングで比較的感じられるため、好みを分けるかもしれないが、当時のバーボンとして飲むならこれはこれで面白い。

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1987年、バーボンウイスキーブームが起こっていた日本市場にニッカが投入したアメリカンウイスキータイプの風味を持った2種類のリリース。コーンを主原料とした原酒のコーンベース、そしてライ麦を主原料とした原酒のライベース。
上記箱裏の説明文を読むと何となく伝わってきますが、ようするに・・・このコーンベースは、アメリカから買い付けた8年熟成以上のアメリカンウイスキー原酒を使ってリリースしたと推察されるものです。(※ライベースは"カナダの"表記。)

文章をどこで切るかによって、意味が異なる書きぶりに確信犯的なものを感じますが、きっと当時の消費者のほとんどは、なんの疑問もなく「日本でアメリカ産の原料を使って作ったウイスキー」と認識したのではないでしょうか。でもニッカにビアスチルなんてありましたっけ?という疑問点はさておき、こういうのも今飲むと中々面白いですね。

詳細なレシピや、日本で蒸留された原酒がどの程度使われているかはわかりませんが、輸入原酒にブレンドされているのは恐らくグレーン。少なくともモルトではないと考えられるメローな香味のバランスです。
これが結構良くできていて、目をつぶって飲んだら間違いなくバーボンだと答えてしまいそうなのです。


仮に輸入原酒を使ったとして、その原酒をニッカはどこから買い付けてきたのか。どの蒸留所のものが使われているのか。
以下は仮説ですが、当時ニッカはギルビー社と技術提携をしており、日本向けギルビー・ジンの生産を行うなど繋がりがあったことは別記事でも触れた通り。
このギルビー社は1972年からグランドメトロポリタン傘下であると共に、アメリカ方面ではNational Distillers社と同様に技術提携をしていました。同社はオールドグランダッドやオールドテイラー、またオールドオーバーホルト等をリリース。ここから推察すると、コーンベースには上記バーボン銘柄と共通する原酒が使われているのでは・・・と予想しています。