カテゴリ:
IMG_20190514_233630
CAOLILA 
AGED 15 YEARS 
Unpeated Style 
Bottled in 2018 
700ml 59.1% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後2ヶ月程度
場所:BAR LIVET
評価:★★★★★★(6)

香り:トーンの高い繊細でシャープな香り立ち。干し草と薄めたはちみつ、バニラのアクセントを含む甘くドライなオーク香。微かにドライアップルやシトラス、ハーブを思わせるニュアンスも伴う。

味:ややドライでスパイシー。ハイプルーフ由来のトーンの高さとアタックの強さはあるが、クリアで癖の少ない口当たり。そこに乾いたウッディネスや干し草の苦味と微かなえぐみ。蜂蜜レモンを思わせる甘みも樽由来として感じられる。
余韻はヒリつくようなスパイシーさ、ハーブやハッカを思わせる鼻腔への抜けと、乾いた樽香を感じつつ、長く続く。

いつものアンピーテッド。リフィル系の淡い樽感主体の味わいだが、加水するとスウィートな甘味、フルーティーさ、オーク由来の華やかさも感じやすくなる。またウッディなエグミもあるが、バランスを崩すほどではない。


まず前置きすると、自分はカリラのアンピーテッドが嫌いというわけではありません。今回のも、安定して美味しいと思います。
ただ見も蓋もない。。。というか、辛辣な言い方をさせてもらえば、最近のカリラのアンピーテッドには、1stリリース当初の特別感や期待値はなく。そしてそろそろ普通のピーテッドスタイルのカリラで、カスクストレングスの15~20年クラスの熟成品をだしてほしいと言うのが、率直な感想でもあるのです。

カリラ・アンピーテッドの1st リリースが発売されたのは2006年のこと。8年熟成の若い原酒は、仕込みの際にあえてピートを炊かず、普段ピートにマスクされた酒質のベース部分の味わいを楽しめる斬新なコンセプトで登場しました。
アンピーテッド仕様であるにも関わらず、仕込み水や蒸留設備等に染み付いたピートが影響してか、微かにピーティーなフレーバーが感じられたという逸話も興味深く。そして素顔のカリラは、クリアで雑味の少ない構成に、ほどよいコクとモルティーな甘みを備えていたのです。

ところが時間の流れは時に残酷。その後熟成を重ねてリリースされたアンピーテッドは、微かに残っていた島の個性を熟成期間に伴う樽の作用が酒質ごと徐々に削りとって樽感で
上書きしてしまい。残ったのはスペイサイドともハイランドとも区別のつかない、年々個性が乏しくなる原酒でした。(せめてアイラで熟成されていれば。。。と思うところですが、恐らく熟成は本土ローランド地域にある集中熟成庫。なんとも夢の無い話です。)

ただ、これまでリリースされてきたアンピーテッドは、2016年にリリースされた15年を除き、初期リリースとほぼ同じ1998年前後に蒸留された原酒を代々使っていたため、熟成による個性の変化と、未来を想像する楽しさもありました。
しかし今年のリリースは、2002年ないし2003年蒸留の15年。樽は多少表記は異なるものの、特別大きな違いはなく。いい加減原酒が尽きたのか、あるいは今後長期熟成をリリースするため、原酒をセーブしているのか
少なくともこれを飲んで今までのアンピーテッドとの酒質に明確な違いはあるかというと・・・自分の感覚では感じ取れません。

この安定感こそがカリラであると言われればそれもその通り。さながら優勝もしないし、最下位にもならない、もうひとつ言えば見せ場もそこまで作らないが、毎レース必ず完走して、周囲が落ちるとポイント圏内につけてくるレーシングドライバーというイメージ。(これはこれで結構凄いし、良い仕事と言われる部類のものです。)
ですが、1年に1度のスペシャルリリースで、アンピーテッドが10年近く続き、カリラから出ている15~20年クラスの限定品がアンピーテッドだけというのは、そろそろ寂しくもあります。

今回の2018年リリースでは、ブローラ等が無かった代わりに、カリラ35年がラインナップの筆頭にあり、ディアジオのリミテッドらしい高い完成度の1本であったと聞くところ。
出来ればそのリリースを20年前後でも・・・。今後のスペシャルリリースでは、ノーマルカリラのリミテッドが出てほしいなと思うのです。