サントリー 山崎 11年 2003‐2014 ボタコルタ 55%
SUNTORY SINGLE CASK WHISKYYAMAZAKI
Aged 11 years
Distilled 2003
Bottled 2014
Cask type Spanish oak BOTA CORTA
For Whisky shop W.
190ml 55%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★★(6-7)
香り:プルーンなどのダークフルーツを煮詰めたような濃厚な甘酸っぱいアロマ、合わせてコーヒー、カカオ多めのチョコレート、微かな焦げ感やいくつかのスパイス。香木を思わせる高貴なウッディネスを伴う。
味:角の取れた濃厚な口当たり、香り同様に煮詰めたダークフルーツ、黒蜜のとろりとした甘みと酸味、一呼吸置いて後に続くタンニン、ローストアーモンド、カカオのようなほろ苦さ。余韻は序盤の味わいに比べると広がりは軽めだが、スパニッシュオークシェリー樽由来の甘みが口内に揺蕩い、ドライでビターなフィニッシュが長く続く。
かなり濃厚に樽由来のエキスが溶け込んだウイスキー。香りは山崎25年に通じるようなスパニッシュオークの素晴らしいアロマだが、味わいは序盤に好ましさがある一方で、後半にかけて苦みが主張し、全体的にはやや単調気味。香り★7、味★6。ハーフショット程度で満足感あり、以降は微妙に飽きがきてしまうのは良いのか悪いのか・・・。

GWの休みを利用し、酒置場を整理していたところ、存在を忘れていたウイスキーを何本か発見。そういえばこの山崎、最後は葉巻と合わせようかと収納した後で、すっかり忘れていました。
モノは2014年に、今は無き大阪のウイスキーショップW.向けにリリースされた山崎の限定品。同ショップ向けには毎年何らかの限定品があり、2013年にはフルボトルで類似スペックの山崎がリリースされていましたが、リリース本数が少なく希望者全員に渡りづらいという声を受け、翌年は190mlサイズでリリースされた経緯があったと記憶しています。
まだ本格的なブームが来る前のウイスキー市場、上記経緯から本数が多く余裕をもって買えたのも精神的に良かったですね。(今思えばケースで買っておけば良かった・・・w)
さて、ボタ・コルタ樽は所謂パンチョン樽のように、バットよりも幅が短く、鏡板が広い特徴を持った樽であり、容量は440リットル程度というのがメーカー情報。このウイスキーの濃厚さは、樽材以外に樽形状も作用しているのでしょう。
ではどんな樽かとネットで調べると、出てくるのは山崎や白州、サントリー関連製品の情報のみで、実物がまったくヒットしない。
勿論ボデガによって規模の違いから、使っているところもあるようでしたが、あまりメジャーではないのでしょうか。
そもそも本リリースに限らずサントリーが使用するスパニッシュオークのシェリー樽は、通常のシェリーの熟成に用いられたものではなく、あくまでウイスキー用にサントリーが作らせているシーズニングシェリー樽なので、規格や構成が微妙に違ってもおかしくありません。
まあそれでも美味しければいいということで・・・先に進ませてもらいます。
さて、今回のテイスティングが1年前の開封時と大きく違うのは、先日リリースされたエッセンスオブサントリー第2弾による、サントリーのシェリー樽への理解の違いです。
今までだと、こんな濃厚な樽、いったい何を入れていたのか?と思っていたであろうところ。濃厚なダークフルーツの香味はスパニッシュオークそのものの成分由来ということが理解出来、熟成を紐解く大きなヒントとなりました。
また口当たりのアタックの強さや、えぐみや焦げた樹液のような、新樽にあったフレーバーが少ないため、ここがシーズニングを経たことで軽減された要素であるとともに、好ましい要素を付与し、香味が整ったところなのだと思います。
今回のボトルは香りが特に素晴らしい。ダークフルーツにコーヒー、カカオ、そしてサントリーのシェリー樽らしい香木を思わせるニュアンスがエッセンスに。
味の方は短熟故に多少複雑さには欠けますが・・・少量加水もあって飲み口は整っている。なんていうか、圧殺近年系シェリーのお手本のようなリリースですね。
コメント
コメント一覧 (3)
一通りのウイスキーを飲んだせいか、最近はノンカラー(ナチュラルカラー)のウイスキーをメインに飲んでおります。
一つ質問なのですが「サントリー 山崎 11年 2003‐2014 ボタコルタ」の色は11年程度にしてはかなり濃いのですが、カラメル色素がかなり添加されているのでしょうか?
また、ジャパニーズはカラメル色素の種類についての規定が無いため「(スコッチは天然のカラメル色素Ⅰ (昔ながらの製法で糖類を加熱のみ)のみ認められている」ジャパニーズに添加されるカラメル色素はアンモニウム化合物や亜硫酸で作ったカラメルⅢやカラメルⅳが添加されている可能性は有るのでしょうか?
コメントありがとうございます。
ナチュラルカラーのウイスキーは、ボトラーズのみならず最近はオフィシャルボトルにも増えてきていますね。
このサントリーのリリースについてノンカラー表記はなく、どちらかはわかりません。ただ同系統のスパニッシュオークシェリー樽熟成であれば、10年前後でこの程度の色になるものは普通にありますので、違和感を覚えるほど添加されているということはないと考えます。
一方で日本で主要に使われているカラメル色素の種類については・・・興味はありますが、各社オープンにする情報でもないため、手元に判別できるものがありません。
そのため、香味に影響がないとされるカラメル色素であっても、本当にそうなのか、実は多少酒質由来の香味を潰すところがあるのではないかなど、この辺をいろいろ飲み比べならがら探り、可能であれば舌と鼻で判別できるようにする。飲み手からのアプローチを追及できたらと思っています。
返信ありがとうございます。
最近はスコッチのオフィシャルボトルにナチュラルカラーが増えてきて嬉しい限りです。バーボンは元々全てナチュラルカラーですし、日本の地ウイスキーもナチュラルカラーが多いです。となると、飲み手も成熟してきてますし色で判断する時代は終わったと思います。よって、日本の大手3社やディアジオ(アードベックは除く)にもオフィシャルをナチュラルカラーにする努力をしてほしいです。