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ELIJAH CRAIG 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKY 
Years 12 Old 
1992's 
750ml 47% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後数ヵ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:やや溶剤のような刺激がトップノートにあるが、スワリングするとキャラメルポップコーンやキャラメルソースのような香ばしい甘さが開く。ドライオレンジ、干し藁、微かに焦げた樽材由来か焼けたゴムのようなニュアンスも。

味:マイルドだが、酸のあるパンを思わせる穀物系の芳ばしさにメープルシロップの甘み。続いてチャーオーク由来のウッディでビターなニュアンスが支配的になってくる。余韻はビターでドライ、軽い刺激を残して長く続く。

ほどよい熟成感が好ましい。苦味の強さは余韻にかけて多少あるが、ボディもロックで楽しめる程度には備わっている。
刺激が気になる場合、チューリップグラスよりはロックグラスにストレートで楽しむと良い。

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1986年に発売された、エライジャクレイグ12年。その初期ラベルが今回のテイスティングアイテムで、詳細な流通時期は1992年(瓶底記載)です。
以前紹介したバレルプルーフ同様に蒸留所はヘブンヒル、原酒の仕込みは単純計算1979年から1980年、火災焼失前のもの。しっかりとメローな甘味のなかに、少し乾いた藁や植物のようなニュアンスが混じるのが、個人的にはヘブルヒルっぽいなと感じる個性です。

ラベルの12年表記は1990年代から2010年代にかけて3パターンあり、2018年頃にリリースされた現行品からは12年表記がなく、NAS規格になっています。
ネットショップなどではエライジャクレイグ12年として販売しているお店もあるようですが、すらっとしたボトルに変わった現行品は8年から12年熟成の原酒を使っているとのこと。近年、バーボン製造の現場では10年以上熟成の原酒の確保が厳しい状況にあり、その業界動向を感じさせるリリースとなっています。

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新しいボトルのエライジャクレイグは、樽由来の甘味が薄くなった一方でえぐみ、セメダイン系の刺激が強くなり、変なライト化が進んでしまったように感じられます。
ヘブンヒルのなかで原酒の融通が変わったのでしょうか。例えば上記の蒸留所限定で販売されているエライジャクレイグのバレルプルーフ現行品であっても、12年熟成表記をまだ保っていますが、強い樽感に対してボディが妙に軽いためややアンバランスな仕上がり。

一方で、この旧ボトルはしっかりとメローでありながらバランスが良く、安くて美味しいバーボンの代表ともえいる銘柄でした。
味についてはもう少し果実系の香味が強くなればなお良いのですが、この価格帯でスタンダードモデルですから、文句はありません。そういうのは上位グレード、それこそバレルプルーフ仕様に任せないとバランスがとれませんからね。

田舎の古い酒屋などを巡ると、まだモノを見かけるこのリリース。当時価格でかつ経年による濁りがなければ、メンチターキー8年と並んで買いの1本です。