ティーチャーズ ハイランドクリーム 1950年代流通 43%
HIGHLAND CREAM
Perfection of Blended Scotch Whisky
1950-1960's
750ml 43%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週刊程度
評価:★★★★★★★(7)
味:スムーズでメローな口当たり。薄めたキャラメルソースやカステラの茶色い部分。微かにオランジェットのしっとりとした酸味、麦由来の風味が徐々にピーティーなほろ苦さへと変わり、存在感を増していく。余韻はスモーキーで内陸の土っぽいピーティーさ、染み込むように長く続く。
しっかりと原酒由来の個性が備わった、モルティーでスモーキーなブレンデッド。麦芽風味は素朴ながら厚みがあり、ピートフレーバーと混ざり合う余韻が素晴らしい。ハイボールも実に旨い。
ティーチャーズをリリースするウィリアム・ティーチャー・サンズ社は、1957年(別資料では1962年)にグレンドロナックを買収。1970年代にかけて生産量を増やし、1976年にアライド社の傘下に入ったことで販路を広げ、世界的なブランドに成長します。
今回のボトルは、そのグレンドロナック蒸留所の買収が行われたかどうかという時期のアメリカ流通品。確定しているキーモルトは、同社が1897年に創業したアードモアで、これは現代まで変わらずティーチャーズのフレーバーの軸となっている原酒です。
一方モルト比率は現行品のハイランドクリームが45%で、30種類の異なる原酒が使われているとのことですが、かつてはクラシックスタイルの65%だったとする説もあります。香味から推察するに、1960年代以前は65%、原酒の種類は30も使っていないのではないかと思います。
ティーチャーズに限らず、当時流通していたブレンデッドを飲むと、特に自社で蒸留所を持っているブランドは、そのモルトの個性が強く出ているものが多いように思います。
当たり前じゃんと思うかもしれませんが、現行品よりも明確に強いという意味です。
これは当時の原酒の方が、今より個性が強かったということに加え、流通や製造規模の関係から、今ほど使われている原酒の種類が多くなかった。ブレンドレシピが多少異なっているのではないかと思うのです。
原酒の種類は混ぜれば混ぜるほど、元の個性を捉えづらくなっていく傾向があります。
そして例えばバランタインやホワイトホース、ジョニーウォーカー等、1960年代にかけて流通したブレンデッドは素晴らしいものが多いのですが、このティーチャーズも同様。(1950年代は戦争の影響が原酒に出たのか、微妙なものもいくつかアリ。)
共通するのは存在感はあるが過度に主張しない、モルティーさとスモーキーフレーバーのバランス。このバランスがグレーンを加えたブレンドの魅力であり、これぞスコッチウイスキーと言えるブレンデッド達。見かけたら是非飲んで欲しい1本です。
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