カテゴリ:
IMG_20190328_230751
OLD PARR 
Deluxe Scotch Whisky 
1960's 
760ml 43% 

グラス:国際企画テイスティング
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:落ち着きがありマイルド。オールブランや黒糖ふ菓子。甘く香ばしいモルティーなアロマから、スモーキーで徐々に土っぽいオールドピートが薫る。

味:マイルドでコクのある口当たり。古典的な麦感と角のとれたピートフレーバーが主体。薄めたカラメルソース、カステラの茶色い部分、少し焦げたチョコレートクッキー、微かに溜まり醤油的な古酒感もあり、深みのある甘さとほろ苦さ。
余韻はビターで内陸系のピーティーさ。染み込むように長く続く。

時代を感じさせる古典的なハイランドモルトの麦芽風味と内陸系のピートフレーバーに、樽由来の甘味のオーソドックスな味わいが特徴。このボトルのキャップの汚染度合いは10段階で2~3といったところ、今後半年から1年程度で香味が開けば、よりオールド本来の味わいが楽しめるはず。

IMG_20190328_230845

1916年から日本に輸出されていた記録が残っているオールドパー。今回の流通時期である1960年代には、著名人が愛飲していたことなどから、ギフトとして需要があったとされる銘柄です。
世界一長寿だったとされるトーマスパー氏のエピソード、斜めに立つボトルデザインなどの験担ぎが、当時の政治家などの上流階級にヒットしたようです。1971年に洋酒輸入自由化が行われると、わずか2年後の1973年には、オールドパーを中心に取り扱う正規代理店オールドパー株式会社が設立されたことからも、その人気が伺えます。

当時は味で評価されたわけではなかったとする意見もありますが、キャップ臭の影響が少ない個体に当たれば、キーモルトのひとつであるグレンダランを思わせる厚みや香ばしさのあるモルティーさとピートフレーバーが備わっていて、派手さはないもののオーソドックスな美味しいブレンデッドに仕上がっています。
今回のテイスティングでも、その系統のフレーバーが感じられ、しみじみと飲み進めることができました。

35c86cfe
8963ecbb
(オールドパーの1970年代前半流通(写真上)と、1970年代後半から1980年代前半流通品(写真下)。デザインの違いはキャップシールがわかりやすい。また、1980年代中頃以降は熟成年数として12年表記が入る。)

オールドパーは元々アジア地域への輸出でヒットしたブランドだったため、同じ1980年代以前のものでも、特級表記のないものが個人購入品として数多く日本に入ってきています。
流通時期によるデザインの違いは上記の通り。味は1980年代のほうがグレーン由来の甘味が強く、ピートフレーバーも控えめになって少しべたつくような感じを受けます。

一方で、1970年代前半のものは、1960年代ティンキャップ時代と大差なく、上記のとおりグレンダランの特徴が主体。
1950年代に入ると、カラメルっぽさより純粋に麦芽系の風味が強く感じられるようになり、これは非常に美味しいのですが・・・この時代のオールドパーはキャップの汚染を考えるとまず当たりがでないため、BAR等で状態の問題ない(あるいは妥協できる)レベルのものがあれば、是非テイスティングしたい1本です。