山崎 10年 エッセンスオブサントリー 2019 リフィルシェリーカスク 53%
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- ★6
- エッセンスオブサントリー
YAMAZAKI
REFILL SHERRY CASK
Aged 10 years
Distilled 2008
Bottled 2019
500ml 53%
グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:日比谷BAR
時期:開封当日
評価:★★★★★★(6)
香り:鉛筆の削りかすを思わせる乾いたウッディネス。栗の渋皮煮、カスタードクッキーを思わせる甘みとほろ苦さ連想させるアロマ。スワリングでレーズンなどのドライフルーツの甘酸っぱい果実香も混じって感じられる。
味:ドライでウッディだが、徐々に粘性を伴う口当たり。ブラウンシュガー、オレンジピールチョコ、甘みの中に香り同様にドライフルーツの甘酸っぱさがアクセントになっている。
余韻は力強くスパイシーでトーン高めのウッディネス。ドライプルーンや黒蜜を思わせる甘みもほのかに漂い、淡いタンニンとともに長く続く。
若さというか、アタックの強さが味の後半にかけて感じられるが、シェリー感はバランスが良い程度。少量加水で甘酸っぱい果実感がさらに開くと共に、少し青みがかった瓜やハーブを思わせるオーク由来の要素も感じられるようになる。
先月末にリリースされた、THE ESSENCE of SUNTORYの第2弾。
昨年同時期にリリースされた第1弾は、サントリーのブレンドを産み出す"原酒の作り分け"をテーマとしたような、山崎ピーテッドモルト、白州ライベースのグレーン、そして知多グレーンのワインカスクという少々変化球的なチョイスでしたが、第2弾は山崎蒸留所の原酒とスパニッシュオークを軸に、新樽、モンティージャワインのファーストフィル、オロロソシェリーのセカンドフィルという3種がリリースされました。
山崎蒸留所は今でこそ多様な原酒が作られていますが、展示されている初期の樽がシェリーバットであるだけでなく、オフィシャルラインナップもグレードが上がるとシェリー樽の比率が上がっていく傾向があり、ミズナラ樽と合わせてハウススタイルを構成する要であると言えます。
近年は、スパニッシュオークでのシェリー樽(酒精強化ワイン樽)作りのため、木材選定からワインを指定しての貯蔵、シーズニング期間まで、現地ボデガにブレンダーを派遣して品質管理を実施している徹底ぶり。ジョークでしょうが、スペイン人はどうにも信用ならないという蒸留所関係者発言も。。。(笑)
今回のリリースはそうした背景から、まさにシングルモルト山崎のエッセンス、真髄を垣間見ることができる構成と感じます。

(ESSENCE of SUNTORY 第二弾3種。ラベルデザインは前回同様に墨文字で、情熱の国スペインとかけて「情」の文字がモチーフになっている。芸術に疎い自分だが、それぞれの色使いと構成に、なんとなく伝わってくるものはあり、バックバーに全種揃うとインパクトもありそう。)
前置きはこれくらいにして、3種類の中から最初にレビューするのは、色の濃さでリフィルシェリーカスクのシングルモルト山崎。
山崎のシェリーと言えば、樽材であるスパニッシュオークの特性や、熟成環境の影響もあり、真っ黒で圧殺で。。。まあとにかく濃い仕上がりのものが多く、リフィルタイプがそのままリリースされることは珍しいですね。
使われている樽は、ファーストフィルの段階でも今回と同じくらいの期間で原酒を払い出していたのか、程よいシェリー感とウッディネスが残りつつ、オーク由来のカスタードを思わせる甘みとスパイシーさが特徴。度数もそこそこあるため、特に余韻にかけてしっかりとした味わいが広がっていきます。
加水すると樽成分でチャーされてない領域から溶け出た要素が由来してか、少し青みがかった感じもあり、現在の山崎のリリースの中でも、12年や18年あたりの香味と共通のニュアンスが感じられました。
エッセンスオブサントリーシリーズの面白さは、そのものの味も悪くないだけでなく、飲むことでサントリーの既存製品への理解や、ウイスキー作りのこだわりを知るきっかけになることだと思います。
第1段は各蒸留所1本ずつ、しかもブレンドというテーマが広域なもので、各原酒の繋がりが分かりづらい部分がありました。しかし今回のリリースは、山崎シングルモルトの軸となる香味を紐解くだけでなく、飲み手にとって近年のシェリーカスクを味わう上で避けて通れない、スパニッシュオークの理解に繋がる点が最大の特徴と言えます。
中々満足度の高いニューリリースでした。是非3本の違いを比較しながら、テイスティングしてみてほしいですね。
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