カテゴリ:
IMG_20190209_231810
THE BLEND OF NIKKA 
Maltbase Whisky 
NIKKA WHISKY 
2010's 
660ml 45% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR ゾートロープ
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ややドライだが新樽を思わせるメローなウッディネス。オールブラン、微かにオレンジ。合わせてしっかりとスモーキーで若干のヨードも伴う。

味:モルティーでリッチな口当たり。オールブランや麦パフを思わせる軽い香ばしさとほろ苦さのある麦芽風味と、薄めたはちみつやママレードを思わせるコク、ボリュームのある味わい。徐々にピーティーで、ほろ苦く微かに焦げたようなスモーキーさが鼻腔に抜けていく

ブレンデッドでありながら香ばしいモルティーさ、ピートフレーバーに存在感があり、モルトベースと銘打たれた構成の通りのリッチな味わい。熟成年数は12年程度だろうか。ただし、このピートは少々アイラ的なニュアンスも感じさせる。


ザ・ブレンドは、”竹鶴政孝が極めたブレンドの心と技”を受け継いで、余市、宮城峡らニッカが保有する原酒の個性を活かしつつ仕上げたブレンデッドウイスキーです。

”ブレンド”という広義な意味を持つ単語に”The”の定冠詞をつけた、ある意味で挑戦的なネーミングでありながら、外観は極めてシンプル。だからこそ感じるニッカらしさ。フロムザバレルといいピュアモルトシリーズといい、これがニッカ好きには堪らないのです。
シリーズとしては1986年にザ・ブレンドがリリースされた後、セレクション、17年、丸瓶及びニューブレンド丸瓶と拡張されていきますが、2015年に起こったニッカショックの際に全シリーズが終売となっています。
そういえば、この5銘柄のうち、ザ・ブレンド17年を飲むことがないまま今日に至ってしまいました。

IMG_20190222_231319
(1980年代後半、リリース初期のザ・ブレンド。ネック部分に特級表記があり、キャップはコルク仕様。香味はモルトの個性として余市系の樽感やスモーキーさがしっかりと備わっているが、全体としては少々野暮ったく、まとまりはもう一歩。★5ー6)

ザ・ブレンドのコンセプトである原酒の個性と、竹鶴政孝にフォーカスしたエピソードは、同じTHE付きのザ・ニッカよりも竹鶴ピュアモルトに通じるブランドの位置付けだと感じます。
香味も柔らかいコクと合わせ、存在感のある麦芽風味とピーティーさが感じられる味わいに仕上がっており、ザ・ニッカのそれとは異なるベクトル。特に上述の初期品は余市系のピートフレーバーが目立って感じられ、粗削りですが同時期のキングスランドより格上で、原酒の個性を打ち出そうとしていることが伝わって来ます。

一方、今回のレビューのメインである2000年代に入ってからの同ブレンドは、引き続きピーティーですが全体的にバランスが向上しており、評価はギリギリ★6といったところ。今思えばこれが3000円台ってめっちゃコスパよかったな~なんて思うわけです。
また、改めて飲んでみると、その香味には微かにヨードのような、アイラ的なピートのキャラクターが感じられたのも印象的でした。

これは単に余市のヘビーピートモルト由来かもしれません。ただ、同時期のニッカがリリースするピュアモルトホワイトでは、カリラのようなキャラクターが感じられるものがあり、2000年代あたりは輸入原酒でこの辺が手に入りやすかったと聞いたことがありました。ひょっとするとザ・ブレンドの中にも同様に輸入された原酒が、バランスを維持する役割で加わっていたのかもしれません。
今となっては、真相は歴史の闇の中ですが・・・。