カテゴリ:
DEWARS 
Ne Plus Ultra
AGED 12 YEARS
SCOTCH WHISKY Deluxe
1980-1990's
750ml 40%

グラス:リーデルヴィノテクスピリッツ
時期:不明
場所:BAR Sanndrie
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:モルティーな香り立ち。おしろい系の麦芽香を主体に、古酒感、蜂蜜やレモンバウム、しっとりとした甘みの奥に淡く柑橘感のある柔らかい広がり。内陸のピーティーさも伴う。

味:口当たりはマイルドで、香り同様に麦芽風味主体な構成。ボディは厚く、べっこう飴や色の濃い蜂蜜紅茶と ほのかにオレンジママレードを思わせるほろ苦さ。
余韻はドライでウッディ。干草や麦芽風味、微かにピーティーで長く続く。

モルティーで熟成感がある、柔らかい飲み口からボディのしっかりしたブレンデッド。アバフェルディ主体なバッテッドと言われても違和感がない。


デュワーズブランドの最高峰にして、その名の通り"至高"の一本と位置付けられている銘柄。リリース開始時期ははっきりとわからないものの、デュワーズ社がDCL傘下となった1925年から30年あたりではないかと推測。1930年前後 には日本にも輸入され、銀座のBARなどで提供されていた記録も残っています。

興味深いことに、現在の市場価格は他のオールドブレンデッドと比較して高価格帯で取引されている本銘柄ですが、当時の相場ではそれほど大きな差はなかったこと。 リリース直後と思しき1930年代流通のボトルに12年表記が確認出来ることから、 ブレンドのグレードは 当時のデラックスクラスだったのではないかと考えられます

(昭和9年の輸入業社カルノー商会の取扱商品一覧(上)と銀座のBARのラインナップ(下)。ネプラスウルトラに加え、ビクトリアヴァットなどの銘柄が確認出来る。

その後、世界大戦の影響で日本への輸入は途絶えたものの、1960年代に復活。1990年代から2000年代の一時期にかけてはリリースそのものが途絶えていたようですが、2015年ごろにネプラスウルトラ30年として免税店向けがリリースされ、現在に至っています。

自分はネプラスウルトラはこれまでファイネスト表記&グレートエイジ表記の70年代と80年代初期流通のみしかテイスティング出来ておらず、今回の80年代後半の12年表記で3種のみの経験ですが、印象は総じてモルティーでハイランド系の麦感や熟成感がしっかりある構成。
ネプラスウルトラの意味である"至高"という名付けは、原酒の選別もさることながら、同社の目指した形がこういうタイプのブレンデッドだったのでしょう。アンセスターあたりのデュワーズとも近いベクトルを感じますが、ネプラスウルトラの方がよりマイルドでモルティーです。

なお戦後流通品の遍歴をざっと調べてみると、向けや時期で比較的細かくラベルが変わっているのも本銘柄の特徴。
基本的にはボトルの色(ブラウン→グリーン)、キャップ形状(ティン→スクリュー)と、スクリューキャップ時代はネック部分の金色のメダルの表記がDか12かで1980年代前半以前かそれより新しいかがわかります。
また12表記でもラベルに The Very Finest Scotch Whisky of Great Age 表記がある場合は1980年代前半で、単にデラックスやブレンデッド表記の場合は後期以降の流通と見ることが出来ます。