キリン 富士山麓 樽熟原酒 50% 終売を発表 後継品は未定
いい奴から居なくなる、昨今のウイスキー業界はベタな脚本を見るようです。
富士山麓は2005年にキリンウイスキーの顔になるブランドとしてリリースされ、今から約2年前にリニューアル。値上げを兼ねてはいましたが、それでもコスパ抜群とファンに受け入れられていた人気銘柄「キリン 富士山麓 樽熟原酒 50%」が来年3月に終売となる報道がありました。
ウイスキー原酒不足拡大 キリン、一部販売終了へ(日経新聞 11/28)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO38267140Y8A121C1EAF000?s=2
この終売情報は今月初旬くらいには酒屋に流れており、既に出荷規制中との話も。自分も先日のウイスキーフェスで裏を取らせてもらっていたところでした。
で、いつ記事にするかと下書きを作っていたところにこの報道です。思ったよりも発表が早かったですね。
終売の経緯は「ハイボールブームによる原酒不足」となっていますが、もう少し紐解くと、先日リリースされた上位グレード「富士山麓シグニチャーブレンド(想定価格:5400円)」に原酒を集約するため。
ブレンドの軸に使われる原酒の熟成年数は違いがありますが、シグニチャーブレンドはNA仕様で、特にグレーンは短熟でもそれなりに仕上がるため、数年後を見据えた場合リリースの安定に繋がるのでしょう。
また、昨今原料等の価格上昇から、国産にしろ輸入にしろ原酒の価格も上がっている状況で、採算を考えての決定もあるものと思われます。
50%とエントリーグレードながら高度数設定もウリでしたが、その分酒税も高かったのが富士山麓樽熟原酒。1700円前後を店頭想定価格としつつも、最近ディスカウントショップなどでは税込1500円程度で売られていることもしばしばあり。
別途キリンが販売している御殿場モルト・グレーンや、他のウイスキー価格を調べていただければ(カラクリもおおよそ察しがつくものとは思いますが)、儲け出てるんだろうかと疑問に思っていたくらいでした。終売の事前情報も、驚きはすれど意外ではなかった、というのが率直な感想です。
これらを踏まえると、今年に入りシグニチャーブレンドをショップ限定品から通常流通に切り替えていたのは、樽熟原酒の終売に向けた一手であり、キリンウイスキーの看板とも言える「富士山麓」ブランドを存続させるためでもあったのではないかと考えられます。
(今回終売の富士山麓樽熟原酒50%と2018年8月に一般販売を開始したシグニチャーブレンド。右のピュアモルトはキリン・ドリンクスの限定商品。)
なお、終売となる代わりに富士山麓関連の新商品があるかというと・・・何かしら動きがあるのは記事でも書かれているとおりなのですが、裏を取りきれておらず詳細は不明です。
記事中では次世代に向けて原酒の保全にも動くとあり、加えて上記の経緯を考えると、50%の高度数を維持した商品では確実に値上げでしょうし、価格を維持するなら40〜45%くらいで、使われていたうち熟成した原酒はシグニチャーブレンドに寄せ、残りの原酒で作れるもの。。。例えば「薫風」や「オークマスター樽薫る」の上位グレードあたりではないかと予想します。
余談ですが、キリン以外でもう1銘柄終売だか休売になるという噂もあります。こちらも確認が取れていませんが、ひょっとすると近いうちにまた紙面を賑わすのではないかと考えられます。
ウイスキーブームはオリンピックあたりまで続くとは思うのですが、各社の息切れ具合が、反動となって後の冬の時代に繋がらなければとただただ心配です。
コメント
コメント一覧 (9)
樽熟原酒の方はディスカウントストアでは
サントリーの角瓶の価格の影響なのか1380円とかでしたから、
酒税の高さを考えても利益率はかなり低かったように思います。
先日の高田馬場でウイスキーフェスティバルでキリンの人に
「またDRINXでシングルグレーンとかの販売を再開しないんですか?」
と聞いたらすごく困った顔をして「蒸溜所限定でなら買えると思います」
としか言わなかったので原酒不足も相当なレベルなのではないかと思います。
キリンは過去に
富士山麓 薫風バレルセレクション
みたいなのを出していたので今後はそういう方向なのではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
正直、伝え聞く限りで原酒不足も結構なもののようです。
加えて利益も各種価格上昇からかなり苦しい状況だったようで、こうなることは秒読み状態だったとか。
新商品については、情報を聞いたルートによって温度差があり、どうもまだ正式に決まっていないようです。
ただ、もし後継品が出るとしても、おっしゃるような仕様で、ハイボール用にシフトしたり、度数を落としたりで、今までとは異なるベクトルになるのではないかと感じています。
富士山麓はコスパ最高だったので、終売はいたすぎです。
別の終売情報めっちゃ気になります…
私の大好きなニッカのウイスキーじゃないことを祈っておりますm(__)m
本当にその通りで・・・
倉◯は元気いっぱいですね。
最近はデパートからドンキやイオンまで
あちこちで見かけます。
なんだか切ないです。
キリンのブランドページもシグニチャーブレンドの写真に変わっていますね。
シグニチャーブレンドのスタンダード品との味の違いも、おっしゃるからくり部分にあるのでしょうか。
小生もTPPがらみで確認していたので、関連すると思う内容別の機会でご紹介します。
ロバートブラウンも一種類になっていますね!
死ぬほど樽が積み重なっていたのを覚えていますが、
あれでも原酒不足なんですね。
そしてもう一つ終売があるかもということで、最近店頭から姿を消しつつある注ぎにくいアレでないことを願います
終売が発表されましたが、店頭には並んでいますね。
1本購入しましたが、現在、体調不良により禁酒を継続中。
ここは、耐えて早く飲める日を目指す日々です。
コメントありがとうございます。体調不良ですか・・・私も昨年丁度今の時期は虫垂炎にかかり思うように飲めていませんでした。
蒸留酒はそうそう悪くなりませんから、ぜひ体を治すことを心がけてください。
富士山麓はリリースが多かったこともあって、なかなか店頭からなくなりませんね。
でも、竹鶴12年のようにあるあると思っていたら或る日突然・・・なんてこともありそうで、本当に終売発表の力は凄まじいなと感じています。