ボウモア 12年 1980年代流通 ダンピーボトル 43%
BOWMORE
Aged 12 years
Islay single malt
Distilled & Bottled Morrison's Bowmore Distillery
Distilled & Bottled Morrison's Bowmore Distillery
1980-1990's
1000ml 43%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会
評価:★★★★★★★(6-7)
味:マイルドで柔らかい口当たりから熟した洋梨を思わせるエステリーさ、軽く香ばしさのある麦芽風味、染み込むようなピーティーさ。余韻は淡くトロピカルフレーバー、スモーキーで染み込むように長い。
フルーティー&スモーキー。アイラ要素に加えて、熟成したスペイサイドモルトのようなフルーティーさ。加水するとマイルドというか水っぽさが強く、微かに鹸化したようなニュアンスが舌に残るため、ストレートでじっくり楽しみたい。
先日モリソン時代のグレンギリーを記事にしましたので、その流れで今日はほぼ同時期流通のボウモア、ダンピーボトル。ボウモアのオールドと言えば、まず連想されるのがこのボトルというくらい、有名なリリースの一つですね。一度は飲んだことがあるという方も、多いのではないかと思います。
この形状のボウモアは、デラックス表記のものと、12年表記、そしてあまり知られていない8年ものの3パターンがあり、全体では1970年代から1990年ごろ、モリソン社傘下時にリリースされたもの。
オールド系の情報では1980年代とざっくり表記されることが多いですが、12年表記の方が近年寄りのロットで、今回のボトルは1987年に社名変更したモリソン・ボウモア社表記であるため、1980年代後半、最後期の免税向けと見るのが妥当と思われます。
今回のロットはマイルドな口当たりから、フルーティーさは洋梨系のキャラクターを主体に淡くトロピカル。染み込むようなピーティーさで、60年代前半の南国感全開!というキャラクターではなく、1960年代後期から70年ごろの蒸留を思わせる構成です。
過去の経験と照らし合わせると、モノによってはトロピカル系のニュアンスがはっきり出てるボトルもあるため、おそらく同じ12年でも時期が微妙に違うのでしょう。
ここで残る謎が流通時期と熟成年数、そして蒸留時期のキャラクターが合致しないことにあります。
というのも、ボウモアのパフューム香は1973年蒸留の辺りから姿を見せ始め、1970年代後期から1988年蒸留ごろまでは完全にパフューム系のキャラクターが出ていた時期に該当します。
今回のボトルの流通が1980年代前半とかであれば、マイナス12年しても違和感はなく。他方で、先に推測した通り1980年代後半とすると、キャラクター的にはパフューム時代に該当するはずで、5〜10年間のギャップがあるわけです。
ボウモア・ダンピーボトルの1970年代から1980年代中頃流通となるデラックス表記は、キャップが金属張りで、違う意味で悪夢を見た愛好家も少なくないですが。味を変えないために同じような原酒を選んで、例えば12年と言いつつ18年前後の熟成年数の長い原酒をメインに使っていたとかかなあとも予想しています。
コメント
コメント一覧 (2)
>例えば12年と言いつつ18年前後の熟成年数の長い原酒をメインに使っていたとかかなあとも予想しています。
とあるバーのマスターが現地で蒸溜所の方に質問したところ、
まさにその通りだったそうです。
ただ、それは企業努力では無く、単に商売下手の為に、スタンダードクラスのボトルに超熟原酒をジャブジャブ注ぎ込んでいたせい、との事でした。
サントリー資本が入った後に「何を考えてるんだ」と是正が行われ、
適正な年数の原酒が割り当てるようになり、当時は「サントリーのせいで味が落ちた」という声もあったそうです。
ちなみにパフュームフレーバーは排熱を利用した温水プールにおいて、地元民の「湯がぬるい」の声に忠実に応え、ポットスチルをカンカンに熱していた結果…との事です…。
ミネラル分と油脂が強く加熱&冷却されると鹸化作用が起きるのかな、と思いましたが、
又聞きも良いところなので真実は分かりません。
情報ありがとうございます。
長熟ジャブジャブから、サントリーによる是正の流れ、確かにサントリー資本から、ラインナップが12年、18年、21年と現代に通じる形に整理されましたから、原酒の割り当ては間違いなくあったのだと思います。
一方、個人的に不思議なのはモリソン時代のボトルにパフュームが出ていなかったこと、ですね。例えば80年代後半に15年熟成くらいの原酒は、蒸留時期的にパフューミーだったはずです。蒸留所側も原酒の味が変わっていることはわかっているでしょうから、商売下手というよりは、意図的にパフューム原酒を避けていたのでは?とも邪推してしまいます。
モリソン「やべえ、これは使えない・・・先送りだな。出てない原酒どれ?長熟?仕方ない、使おう。」
サントリー「まあ、これはこれで個性じゃないの?ちゃんと使いましょう」
みたいな。
そしてパフューム発生の要因とされるポットスチルとコンデンサの話は有名ですね。地元民の意見が発端だったという話は初耳ですが、ありそうなエピソードで面白いです(笑)。
当時、モリソン傘下の蒸留所にはグレンギリ―とオーヘントッシャンがありますが、グレンギリ―がほぼ同時期にパフューミーで、やはり同様にポットスチルの熱を使って何かやっています(農作物の栽培)。化学反応には詳しくありませんが、副産物を意識するあまりに酒質を変化させたというのは、事実なんだろうと感じています。
そして一つの味、一つのボトルからこうして色々想像が出来るのも、ウイスキーの楽しさですね。