グレンブレア 12年 ピュアモルト 1990年代流通 43%
GLEN BLAIR
PURE MALT
12 Years old
1990's
750ml 40%
グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★(6)(!)
味:口当たりはピーティーで、クリアな麦芽風味、干草、塩気、ドライな刺激、オイリーなコク、からスパイシーなフィニッシュへ。戻り香にはヨードや磯臭さもある。
樽感はそこまで強くないが、しっかりとしたコク、少し癖のあるハイランドタイプの麦感、島系のスモーキーさと特徴のあるモルトウイスキー。無名だがレベルの高い1本。こういうボトルがあるからオールド探求は面白い。
原酒不明のブレンデッドモルトですが、前述の通り若いなりに完成度の高さが光る通好みの銘柄。それも結構素性のいいモルトが使われているようで、その証拠に開封から1週間しないうち、来店したコアウイスキーラヴァー達に飲み尽くされてしまったのです。
もう1杯くらい飲みたかったなあ。。。
製造するバーンスチュワート社は、近年はブレンデッドウイスキー・ブラックボトルをリリースするメーカーとして、ウイスキー好きな方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。
ただ、それは2003年からのこと。このグレンブレアがリリースされた1990年代初頭は規模を拡張しようと動いていた時期にあたり、所有蒸留所はまだディーンストンのみ。1993年に休止中だったトバモリー蒸留所を買収し、2003年にブナハーブン、そしてブラックボトルの版権も手中に収めたという流れです。
さて、これでこのグレンブレアがオイリーさのある麦芽風味主体のウイスキーなら、はいはいディーンストンねと、なんの違和感もなかったのですが。。。その構成は島要素7、ディーンストンっぽい癖を含むハイランド要素3といった具合。テイスティングの通りスモーキーでピーティー、強いアイラ要素が前面に感じられます。
ディーンストンでもトバモリーでもない(ヘビーピートなレダイグの蒸留は2007年から)、いったいなんの原酒が使われているのかが最大の謎でした。
キャラクター的にはちょっとクリアでピーティーで、酒質はオイリーさがあってスパイシー。ブナやラディはまずありえないし、キャラ的にボウモアでもラフロイグでもなく、1980年前後の蒸留からアードベッグも困難。ラガヴーリンが他のグループ企業に提供されているとは思えず、あるとすればカリラでしょうか。
現時点でこのうちから絞り込むに足る、確たる情報はないのですが、味からぱっと連想したのはタリスカー。個人的にはカリラよりタリスカーと思える香味なのです。
調べて見ると、トバモリーとタリスカーは薄いながら繋がりがあるようで、ひょっとすると原酒の融通もあるかも。
またもう一つが、バーンスチュワート社は会長が元ハイラムウォーカー社のマネージャーだったようで、この繋がりで良質な原酒を手に入れたか。。。
しかしまあ何と言っても美味しいピーティーなモルトで、オークションで無名銘柄相応の価格に落ち着くなら、普通に3本は購入したいと考えたのは、率直な評価です。
コメント
コメント一覧 (4)
香味からなんとなく昔のアードベッグを想像してて、でも時期的にあり得ないよな〜と思っていたらscotchwhisky.comにはマネージャーがハイラムウォーカー出身と記載。
もしかしたらあり得る⁉︎と妄想しておりましたところ、素晴らしい考察いただきました。
ありがとうございます。
その後自宅で開けた同社のストラスグレン・ピュアハイランドモルト5年「ウイスキー」シール付きも若いながら同系統の味わいでした。
グレンブレア、確認にもう一杯飲みたかった…
コメントありがとうございます。
stさんもテイスティングされましたか。
自分もアードベッグっぽい要素も感じたのですが、リリース時期から逆算する蒸留時期である1980年代は、アードベッグはほとんど稼働していないため、いくら当時今ほど人気がなかったアイラモルトといっても、手に入れるのは難しいのではないかと予想しました。
そうすると、ハイラムウォーカー経由で手に入る原酒で、あと同系統の島系ピーテッドは見当たらないのが、このボトルについての分析を難しくしています。。。
店長にはまた入るなら是非入れて欲しいと頼んでいるところですが、なにぶん国内でほとんど見ないボトルですので、可能性は低そうです。。。
なんというか、しみじみうまいボトルでしたね。同系統を開封されたというのは、羨ましい限りです。