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CAMPARI
BITTER
1980-1990's
1000ml 24%

最近ハマっているビター系リキュール、カンパリ・ビターのオールドボトル。
ビターオレンジにキャラウェイ、コリアンダー・・・原料は色々使われているそうですが、香味の主軸は皮ごと絞ったオレンジを思わせる香味と根菜系の苦味。香りにはハーブや漢方、あるはスパイス的な要素も混じって、とろりとした口当たりの甘みがちょっとした薬用シロップのようにも感じられます。

元々オレンジ系のリキュールが好みで、グランマニエの上位グレードオールドとか大好物なわけですが、合わせて好みなのが、じんわりと染み込むような薬草系リキュール特有の"苦味"。オレンジ系に甘み、そして強い苦味という要素が主軸であるカンパリ・ビターに惹かれるのは、極めて自然な流れだったわけです。

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現行品のリキュールの多くは、カクテルとの相性を考えてかドライ気味に造られているものが目立ちますが、オールドボトルはレシピや抽出方法が現在と違うため、現行品より香味要素が強く、甘みとコクもしっかりあるものが多い印象。
今回飲んでいるカンパリも、2007年に着色方法が切り替わっているだけでなく、やはり時代時代での違いがあります。
今回のロットは1990年代以降に比べちょっと苦味や薬っぽさが主張しすぎる部分はあるのですが、好きな人はストレートで飲んでもたしかな満足。そのまま飲むならロックにも耐えるコクと強い香味。思わず葉巻と合わせたくなってしまいます。

あるいはカンパリオレンジを作ってソーダアップすると、もはやこれはお酒ではなくジュースとして美味い領域に突入します。スプモーニにしても、爽やかな飲み口から苦味が強調されてたまらんです。
香味が現行品より強いので、比率は既存レシピに比べ多少調整が必要とは思いますが、昔のバーマンはこれでカクテル作ってたと考えると、これがクラシックな味わいなのかもしれません。

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(カンパリビター、1980-1990'sと1990-2000'sの色合いの違い。甘味は同じくらいだが、薬草系の苦味、奥行きが色合い同様軽くなっている。飲みやすく、誰でも楽しめるカクテルに使うなら右でもいいが、個人的には左の方が。。。この時代がカンパリのボーダーライン。)

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オールドリキュールではベルモットなどの大半は20度以下と度数が低く、状態があまり良くないものもしばしば見られます。
その点、カンパリは度数が24%、モノによっては28%と高い度数に加えて糖度も高く、比較的安心して手を出せるのもポイントです。
流通量が多かったためか、1980年代くらいまでならそこそこ残っていて、しかもキナ系リキュールに比べて安価なのが嬉しい。このあたりまでならカクテルにガンガン使っても罪悪感が湧きません(笑)。

余談ですが、ビターオレンジリキュールという選択肢に目覚めるきっかけになったのが、写真のチンザノ・ビター。1960年代流通のオールドボトル。チンザノブランドは現在カンパリ傘下にあるわけですが、このボトルは甘みと苦味の一体感が段違いで既存のカンパリとは別格。
どうにか1本欲しいんですが、この手のボトルはスコッチモルトのエントリーグレード同様に、その時代その時代で消費される傾向があるため、国内ではまず見かけないのが難しいところです。