カテゴリ:

GLENCADAM
HIGHLAND SINGLE MALT
Aged 21 years
700ml 46%

【ブラインドテイスティング解答】
地域:ハイランド
蒸留所:バルブレア
年数:20年程度
樽:バーボンバレル
度数:46%程度
仕様:加水、バッティング

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@ブラインドサンプル
暫定評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかでリッチなオーク香。熟したパイナップルを思わせるフルーティーさと、ココナッツやバニラの甘み。乾いた木材、干草っぽいアクセントも伴う。

味:まろやかでほのかにスパイシーな口当たり、香りとの同様のオークフレーバーが、バニラや麦芽風味を底支えにして広がる。バケットの白い部分、蜂蜜、ファイバーパイナップル、ドライオレンジ、干し草。
余韻はドライでオーキー、華やかな樽香が長く続く。

まさにバーボンバレルという華やかでフルーティーな香味が、嫌味少なく綺麗にまとまっている近年系ハイランドモルト。品質は申し分ない。素性の良さを感じさせる酒質と熟成感、ほのかにスパイシーな飲み口からバルブレアの1990年代蒸留オフィシャルリリースを予想。出題の意図から考えると、近年作りのイントレカダムという印象でもある。


ウイスキー仲間のぎんがさんから出題。
今回は通常のノーヒントブラインドではなく、出題者が「このサンプルの中身は、このボトルに似ているところがある」と、条件を出した上で出題する、回答者との共通認識のキャッチボールを兼ねる興味深いブラインドでした。

サンプルの中身は一切不明なのですが、前提条件として指定されたボトルで出題者がイメージする方向性等が最初から提示されているという点で、完全なブラインドではないと言えます。
ただ、 ブラインドのやり方としては「ハイランドで〜」とか、「オフィシャルで〜」とか、予めテーマが設定されていることは珍しくなく。それがボトル指定というのが今回の面白さであり、提示されたボトルの香味を記憶から引き出しつつ、出題者がどう感じたのかとも考えながらサンプルを深掘りさせていただきました。


1問目、サンプルAのお題はトップの写真右側に写る「インタートレードのグレンカダム13年 61.4% 1980年代流通」。グレンカダム好きには堪らないレアボトルがお題となっています。

出題されていたブラインドサンプルは、現行品のグレンカダム21年だったわけですが、まずこれ単体で完成度の高いシングルモルトだと感じました。
バーボンバレル由来と思しき甘みやフルーティーさがしっかりと感じられるだけでなく、ボディもそこそこあり、なにより酒質がそれを邪魔せず嫌味の少ない香味に仕上がっている点が魅力。
グレンカダムはオフィシャル15年もコクのある麦感とオーキーな香味でレベルの高い1本であるところ。21年はその正常進化系とも言えるリリースだと認識できました。(実はちゃんと飲んでなかった。。。汗)

一方、今回のテイスティングの出題意図は、スペック上では全く異なるイントレカダム13年です。
当該ボトルは、樽感は控えめながらグラスの中で柑橘系を思わせる香味と蜂蜜、そして麦芽風味がぐんぐん開いてくるような、同蒸留所素の魅力を存分に楽しめるリリース。
少々こじつけ気味ではありますが、その香味から、もしイントレカダムが近年に作られたら、多分樽感は最近のトレンドからオークフレーバーが強い味付けになりそうだし、酒質の部分は多少ライトになるような気もする。その樽感を差し引くと、共通する部分があるのでは、というのがブラインドでの感想になります。

そのカラクリ、答えはシンプルで同じ蒸留所だったから。「いつから同一蒸留所は除外するなんて錯覚していた?」というぐぬっちゃう勘違いはさておき・・・。しかしながら、時代と共に香味が変化するのは多くの蒸留所の常であり、まして70年代と90年代蒸留では見る影もないなんていう蒸留所も少なくない中で、現行グレンカダムの良さ、ポテンシャルを再認識できたテイスティングでもありました。

それにしてもこのテイスティング方法。先入観を少なからず植え付けられるので、積極的に探しに行く方向がぶれないのは良いとしても、"ブラインドの出題"としては中々腹黒いですね(笑)