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HIBIKI
BLENDER'S CHOICE
SUNTORY WHISKY
2018's
700ml 43%

グラス:響フレグランスグラス
場所:日比谷BAR Whisky's
時期:開封後1日時点
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香に、ツンとした刺激と乾いたウッディネス、淡く干し草っぽさ。洋梨のタルト、マスカット、ファイバーパイナップル。白系にうっすら黄色系の混じる品のいい果実香。

味:ドライで軽さもあるが、途中からコクを感じる口当たり。序盤はオーキーなフレーバーが中心で、心地よいスパイスの刺激とねっとりした舌触りが、焼き栗、バニラ、微かに柑橘の皮を思わせるニュアンスも。
余韻はウッディでほろ苦く、ややタンニンも伴う。

ホワイトオークのドライで華やかな香味をメインとし、長期熟成原酒が全体のバランス、ワイン樽の粘性のある甘みやタンニンがアクセント。わかりやすい構成で、比較的よくまとまっている。少量加水すると口当たりのドライさと粘性ある舌あたりが混ざり合い、一体感のある華やかさと微かなミズナラの残滓、香木香が感じられる。


今年2月、エッセンスオブサントリーの発売と合わせてPRされていた響の新商品、BLENDER'S CHOICE (ブレンダーズ チョイス)。9月4日発売予定で、1ヶ月前くらいから試飲会とか色々情報が出てくるやろーって思っていたら、見事に何もなく(笑)。
友人から「飲んだ?」と聞かれるまで、完全に忘れてました。

【響 BLENDER'S CHOICE】
発売:2018年9月4日(火)
希望小売価格:10,000円
仕様:ブレンデッドウイスキー
容量:700ml
度数:43%

<構成>
・様々な樽や様々なエイジングの原酒を厳選し、ブレンダーの匠の技でブレンドした特別な一品。
・平均酒齢15年程度、一部30年を超える高酒齢原酒を使用。
・ワイン樽後熟原酒を使用し、甘くまろやかで深みのある味わい。

上記が、PR用のビラに使われていた情報になります。
30年熟成原酒を一部使いつつも、平均酒齢15年という表記は気になるところ。まあ冷静に考えて、原酒不足なのに熟成感たっぷりで、全盛期の響を思わせるような構成のものがリリースされるなんてことはないんですよね。
飲んで見ると、やはりピリピリとした刺激や10年程度の若い原酒らしい軽さは感じられます。しかしテイスティングの通りフレーバーの繋がりに加えて口の中での変化と起伏があり、ただ若く、薄っぺらいだけの味わいにはなっていません。
正直なところ、思ったよりも悪くないというのが本音の評価です。

原酒についてはワイン樽後熟の表記がありますが、それはあくまでアクセント。メインになっているのは、パンチョンやバーボン樽のホワイトオーク系の原酒であるように思います。
他のジャンルに例えるなら、スコッチモルトでバーボン系の樽熟成のスペイサイドモルトや、ブレンドではシーバスリーガルの上位グレードにあるような華やかさ。この香味が主体にある事で、はっきりとわかりやすい構成を軸としたブレンドになっていると思います。

また、そこに長熟原酒やワイン樽の後熟原酒、あとはシェリー樽などの要素が加わり、オークフレーバーを軸に口当たりから余韻にかけての香味の変化、起伏、繊細にも感じる複雑さ。それは十二単のようなとまではいきませんが、樽由来の香味が幾つかの層を成す、日本らしいウッディネスが感じられる点も印象的でした。 


響ブレンダーズチョイスは、発売時期的にも価格帯的にも、休売となった響17年の後継品という位置付けが見える銘柄です。
また、今後響のラインナップは、
・ジャパニーズハーモニー(5000円)
・ブレンダーズチョイス(10000円)
・21年(25000円)
・30年(125000円)
※( )はメーカー希望小売価格
と、エントリーグレードから2つのノンエイジが並ぶことになります。
まずこの2本を飲み比べて見ると違いは明確。ジャパニーズハーモニーは比較的近年の発売であり、ベクトルは似ている部分もあるのですが、熟成感、果実味、複雑さ、ウイスキーとしての格の違いは明確で、値段なりの差は間違いなくあると言えます。(っていうかジャパニーズハーモニー、若くなったというかドライというか、味変わりましたね。。。)

一方で、響17年と比較すると、これは時代が変わってしまったのだと思わざるを得ません。
熟成感はそもそもエイジングとノンエイジ表記で条件が違うので、その差は当然あるものとして、それ以上に和的な要素に繋がっていたミズナラ系の香味が、最新ロットの響で3(全盛期の17年で5〜6)とすれば、ブレンダーズチョイスは1くらい。シェリー系のニュアンスも減っている印象です。
様々な原酒の香味、ウッディネスが多層的な香味を織りなすブレンドの方向性は変わらないでも、原酒構成がそもそも違うことが時代を感じてしまう要因となっています。

他方、原酒不足の中、それでも良いものを作らなければならない。まして新商品は響シリーズの代表格とも言える17年の後継的な位置付けとして、常に比較されるわけですから、様々な悩みと苦労があり、ブレンダーにとってはまさにチャレンジだったのではないかと思います。
その想いが結実したブレンデッド。単品として見れば、値段なりの美味しさはありますし、見るところがある良作だと思います。