若鶴酒造 ムーングロウ 10年 リミテッドエディション2018
MOON GLOW
Blended Whisky
Aged 10 years
Limited Edition 2018
700ml 43%
グラス:オープンナップスピリッツ アンビアント
場所:Bar ハリーズ 高岡
時期:開封後2-3ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5ー6)
香り:酸味のあるナッティーさ、乾いた草、奥には華やかなオーク香。微かな乳酸系のニュアンスが若さを感じさせる。徐々にスモーキーなアロマも開いてくる。
味:ややフレッシュな口当たり。スパイシーでドライな樽感、微かに蜂蜜、レモン、じわじわと粘土質を思わせるようなピートフレーバー。余韻はピーティーでスモーキー、樽感はあまり強くないがドライな舌あたりが特徴的。
多少の若さを伴うが、全体的にはバランスがいいブレンデッド。ピートフレーバーがネガティブさを抑えていい仕事をしている。ストレートで。
若鶴酒造(三郎丸蒸留所)がリリースする、ブレンデッドウイスキー、ムーングロウの第二弾。昨年のファーストリリースはピーテッドモルトを仕込んできた三郎丸蒸留所本来のキャラクターとは異なる、バーボンオーク系の華やかなタイプであったところ。
今回は使われた原酒の熟成年数が多少下がりつつも、ピーティーさに加え、若いモルトのフレッシュさやグレーン由来の程よい甘みが感じられる、バランスの良い1本に仕上がっています。
ムーングロウには、三郎丸が改修工事前に仕込んだ20年以上熟成の原酒がキーモルトとして使われています。しかし第1作目と2作目の味わいは、ブレンドの方向性を差し引いてもピートレベルに明確な違いがあります。
前作のムーングロウは、オークフレーバーの中に若干の溶剤感と針葉樹のような、旧三郎丸蒸留所の原酒に感じられる癖が混じり、ピートフレーバーはライト。それが今作は、余韻にかけてピーティーな香味が存在感を出してくるのです。
この要因として考えられる一つが、当時の仕込みです。旧三郎丸仕込みの原酒をいくつか飲むと、あまりピートが強くないものが混じっています。
改修工事前は密造時代を思わせるような手作業で作っていたわけですから、糖化、発酵の段階でうまくピート成分を抽出することができなかったのかもしれません。
しかし蒸留所を改修し、新しいマッシュタンを導入したところ、よりハッキリとピーティーなニューメイクを仕込むことが出来るようになった模様。今年の仕込みのそれは、昨年と比較しても酒質がさらに良くなっていました。
詳細は別途記事にする予定ですが、ピーティーでボディにしっかりと厚みと麦由来の甘みがある、お世辞抜きに将来が期待出来る三郎丸のニューメイク。
この原酒を育てて、これまで若鶴酒造がリリースしてきたウイスキー以上のものを絶対作ってみせますよとマネージャーの稲垣さん。
今作のムーングロウはファーストリリースより好みでしたが、それ以上のものが数年後に誕生することを楽しみにしています。
コメント
コメント一覧 (2)
コメントありがとうございます。
何か誤解を持たれているのではないかと思いますが、ウイスキーの色合いは樽の種類や熟成環境によって異なりますので、10年でこの色合いは特段違和感があるものではないと思います。
加えて、新酒的なフレーバーについてですが、確かにちょっと若いニュアンスが残っているとこはあるはあるものの、これもまあ10年熟成レベルならあり得る範囲かなと。
ここのマネージャーはそうした規制、法律についてはキッチリやってますので、年数表記未満の原酒は使っていないと思いますよ。