カテゴリ:
YAMAZAKI
SUNTORY WHISKY
Aged 25 years
700ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後5年程度
場所:BAR Perch 萌木の村
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:華やかでコクのある香り。香木系のニュアンス、チョコレート、レーズンやベリーのドライフルーツ、あるいは熟した柘榴。深みを伴う甘酸っぱい馥郁としたアロマ。

味:スウィートでとろりとリッチな口当たりだが、すぐにビターでドライ、強いタンニン由来の渋みを感じる。
果実味は香り同様にベリーやプルーン、カシスとフルーツソースのような濃厚さだが、余韻は香木を伴うウッディネス、果実味のあるシェリー香が鼻腔に抜け、タンニンが強く染み込むように長く残る。

濃厚なスパニッシュ系のシェリー感に加えミズナラを思わせる香木香も伴い、香りだけでご飯3杯いけるようなウイスキー。ただし味はストレートだと濃厚な甘みの後にウッディーでタンニンが強く、色々な意味でのジャパニーズらしさもある。少量加水すると香味ともさらに開き、タンニンも軽減される。


ああ、山崎のシェリー樽だなぁと感じる1本。
近年、世界的なジャパニーズブームを受けて山崎25年の価格は青天井。加えてモノも品薄ときて蒸留所での試飲以外は飲む機会がなくなっていたのですが、どうも最近のロットはシェリー感が薄い印象があり、今回ブーム到来前のロットをテイスティングしてその構成を探ることにしました。

ボトルは萌木の村で開封されていた、2013年ごろの流通と思われるロット。
シェリー感はスパニッシュオークのオールドタイプ。そこにミズナラ、ホワイトオークといくつかの樽が混じり合っているようですが、比率はシェリー7、ミズナラ2、ホワイトオーク1くらいと感じるほど、濃厚なシェリー感が主体の構成です。
その香味はジャパニーズらしさと言うか山崎の到達点の一つと言えるものですが、最低25年という熟成期間の縛り故、樽由来の渋みが強く出て、極上のチョコレートケーキとエスプレッソを合わせているような、深い甘みと苦味の層を感じる味わいが特徴的です。

他方、今回のテイスティングのきっかけとなった、山崎蒸留所で試飲した25年の近年ロットはシェリー感が若干ライトになっており、ホワイトオークの比率が上がっていた印象。ざっくりとした比率でいうと、シェリー5、ミズナラ2、ホワイトオーク3くらいでしょうか。
年間製造本数1000本強と本当に限られた数しか作られないハイエンドでも、近年のブームの影響を見るようです。

シェリー感が薄くなったことは賛否分かれると思うものの、上述のタンニンが穏やかになって、逆にバランスが取れたかなという印象もあります。
山崎18年や響21年も同様の変化が見られたことは先日記事にもした通りですが、それらのラインナップ一通りの背後に、ブレンダーの努力を見たようにも感じるのです。