963 ミズナラウッドフィニッシュ 17年 セカンドフィル 福島県南酒販 46%
963 BLENDED MALT WHISKYMIZUNARA WOOD FINISH
2nd Fill
Aged 17 years
700ml 46%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後数日以内
評価:★★★★★★(6)
香り:少しツンとした刺激、一瞬湿気ったような酸味を伴うが、すぐにバーボンオークのオーキーなアロマ。淡くミズナラを思わせる香木香にりんごのコンポート、蒸した栗、バニラのニュアンスが時間経過で前に出てくる。
味:オーキーでウッディな口当たり。序盤はややビターだが、次第にとろりとした粘性を伴う甘み、林檎やパイナップル、黄色系の果実味も感じられる。
余韻にかけてはほのかにクリーミーな甘み、白桃缶のシロップを思わせるような要素を含み、軽やかにウッディで長く続く。
ハイランドやスペイサイド系の原酒を思わせる穏やかな構成。若さを感じない適度な熟成感で、樽感はバーボンオーク主体だが、淡いミズナラのアクセントがフルーティーさを後押ししているように感じる。飲み方はストレート以外に、ロック、ハイボールも悪くない。
福島県南酒販から、夏のギフト向けに発売された963シリーズの最新作。
バーボン樽熟成のブレンデッドモルトをミズナラ樽で数ヶ月間後熟したものですが、ベースとなる原酒の香味がミズナラ樽由来の香味とうまくマッチ。近年高騰著しく、高嶺の花となってしまった同樽熟成ウイスキーの香味に近い構成となっているのがポイントです。
この963MWF17年は、昨年11月にもリリースされており、その際に使われたのはミズナラの完全な新樽。それを6月から9月頃まで、1年のうち最も暑い時期にフィニッシュに用いたことで、数ヶ月間でありながら結構しっかりと樽由来の香味が出ていました。(※写真左がファーストリリース、右がセカンドリリース。表ラベルは同一、裏ラベルが微妙に異なる。)
対して今回は引き継ぎとなるセカンドフィルに、ベース原酒はおそらくほぼ同じ系統のものを2月から5月、冬から春にかけて後熟。当然、樽から出るエキスの量が異なるため、ミズナラ感は多少淡くなっていますが、むしろファーストリリースの樽感が雑というか多少煩くも感じていましたので、樽に拘らずウイスキーの全体で見れば洗練されたような印象も受けます。
価格は前作から据え置きの1万円。2作目ということでファーストリリースを超える衝撃とはなりませんでしたが、これはこれで扱いやすく美味しいウイスキーなのではないでしょうか。
(ファーストリリース(左)とセカンドリリース(右)。ファーストリリースのほうが色濃く仕上がっている。)
今同じ系統が2作続いたわけですが、こうして見るとバーボン樽原酒とミズナラ樽の組み合わせは相性の良さを感じます。
香味としては、香木を思わせるニュアンスなど、アメリカンホワイトオークとミズナラの木材が持つ方向性の違いは当然ありますが、共通の要素がない訳ではありません。
ざっくり整理すると、バーボン樽はAとBの香味要素があり、ミズナラ樽はCとDを持つとするなら、このAとCがニアリーイコールなので、フィニッシュよって市場が求めるミズナラ樽熟成に近い原酒に仕上げられる可能性。
ミズナラはエキスの出が良いとも聞きます。新樽入手後いきなり10年単位の熟成を狙うより、フィニッシュで樽感を慣らしていくのも理にかなっています。
勿論樽は生き物、必ずこのようになるとは言い切れませんが、小規模生産のクラフト蒸留所の商品開発の方向性としては、参考になるリリースとも思うのです。
コメント
コメント一覧 (2)
さて笹の川の17年物とは申せ、少し高いですね。 贈答用というコンセプトは十分に理解できるのですが、ライバルが多すぎてもうひとひねり必要かなと。
あっ、先日オクで moncreiffe なるブレンデッドスコッチのオールドボトル購入したのですが、 何処にも何にも情報が無く困ってました。 何か知ってましたらば宜しくご教授下さいませ。
ブレンデッドモルトで17年、というスペックだけで考えると、確かに15年のジョニーウォーカーグリーンラベルが5000円くらいですから、少々高いと感じられるのかもしれませんね。(度数も違うので一概には比較できませんが。)
ただ、近年ノンエイジのリリースが主流で、価格も1万円越えが当たり前となりつつある中では、頑張っている価格設定なのではないかと感じます。
さて、モンクリーフですか。珍しいボトルを入手されましたね。
正直詳しいことは私もわからないのですが・・・
どちらが主流だったのか、今はわかりませんが、モンクリーフ社は買い付けた原酒でブレンデッドメーカーとしても、ボトラーズメーカーとしても活動していた会社で、ご質問のボトルはそのブレンデッドです。たしか8年から15年まで、3種類くらいリリースされていたはずです。
ボトラーズのほうでは評価の高いボトルをリリースしており、コアなウイスキーファンには知られているメーカーでもあります。