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GLENMORANGIE
Vintage Malt Scotch Whisky
Aged 21 years
Distilled 1977
Bottled 1998-1999
700ml 43%

グラス:スピリッツスニフター
場所:BAR飲み@Nadurra
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライな香り立ちとほのかにひねたような古酒感。干草、オレンジのワタ、おしろい系の麦芽香、奥からフローラルなニュアンスも感じられる。

味:スムーズな口当たり、心地よくドライな麦芽風味と合わせてパフュームライクなフレーバーが広がる。
オレンジを思わせる鼻抜け、薄めた蜂蜜、ビターな麦芽風味やナッツ、心地よいウッディさとスパイスの刺激。染み込むような余韻。

主体は麦芽風味、樽感もほろ苦く心地よい、リフィルのアメリカンオークと思われる要素が感じられる。しかしそこに影のようにパフューム系のニュアンスがあり、あと一歩で完全にフローラルパフュームサイドに落ちるような危ういバランス感。少量加水しても崩れることはないが、終末時計の針は確実に進む。


グレンモーレンジは今も充分美味しい蒸留所ですが、古いものはもっと美味しい。結構期待していたボトルだったのですが、予想外の味わいに衝撃を受け、そして冷静に考えて時系列的にありえる香味に納得する、そんな1杯だったのがこちらのグレンモーレンジ1977です。
何がというと、味わいの奥にあるパフューミーさ。これはグレンモーレンジに感じやすいおしろいやお粥のような麦芽風味とも違う石鹸系統のフレーバーで、ガチのパフュームが芽吹く寸前という感じなのです。

グレンモーレンジで石鹸系のパフュームを感じるのはこれが初めてではなく、2000年代に流通していた18年はほんのりとそのニュアンスを感じたことがありましたし、ロットによっては結構強いものがあるようです。
つまるところ、1980〜1990年前後に蒸留された原酒に危険なロットがあると考えられ、この1977もまたなるほどという印象。一方で、同じ蒸留時期の10年にそのニュアンスを感じたことはなく。ひょっとすると、上記の麦芽風味が樽やボトルの中で時間を置くと、変質しやすいのではないかとも推察しています。

(グレンモーレンジ蒸留所のトレードマークとも言える、細く背の高いポットスチル。現行品の10年を飲むと、爽やかでライトな香味がこのスチルの形状とぴったりマッチする。Photo by T.Ishihara)

今回のボトルは、そうしたニュアンスを除くとドライでやや硬い印象を持つ樽感は、シェリー系というよりはバーボンバレル、ホグスヘッドの構成。そこに蒸留時期相当の濃い麦芽風味が感じられる、開くのに多少時間はかかるものの、らしさを感じられるボトルだったのではないかとも感じます。

それがなぜ時間とともに変化したのか。加水か、熱か、何が原因かは不明ながら、いずれにせよ今回のボトルはその変化がギリギリのところで止まっており、まさに終末が訪れる寸前というところ。逆に危ういバランスを楽しむことができました。比較的流通していたボトルなので、ストックを持っている方は多いかもしれませんが、早めに開封して飲んでしまうのも一案です。
もし、ソーピーなフレーバーに苦手意識があるならば・・・。