ニッカウイスキー 竹鶴ピュアモルト 21年 初期ボトル 43%

NIKKA WHISKY
TAKETSURU
PURE MALT
Aged 21 years
2000's
750ml 43%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:萌木の村
暫定評価:★★★★★★(6-7)
香り:甘く香ばしい香り立ち。アーモンド、熟した洋梨、蜂蜜。奥から軽いケミカルなニュアンスを伴うフルーティーなアロマ、新樽系のビターな樽香やスモーキーさも開いてくる。
味:スムーズでマイルド、薄めたキャラメル、オレンジママレードのほろ苦い甘みから、トロピカルフルーツを思わせる熟成した果実風味、ナッツのアクセント、コクのある味わい。奥にはほのかに蜜っぽい甘みのあるケミカルなフレーバーも感じる。
余韻は軽やかにドライ、シロップのような甘み、じわじわとほろ苦いピートフレーバーと樽香を伴い長く続く。
複雑で奥行きとコクのあるモルトウイスキー。加水で柔らかさが飲み口に感じられる分、バランス寄りの香味に振れているが、しっかりとした熟成感と共に余市の香ばしくピーティーなモルティさ、宮城峡の華やかなフルーティーさが混ざり合う、多彩な香味が備わっている。
今や世界に名だたる日本製ウイスキー銘柄の一つとなった、竹鶴ピュアモルトシリーズ。今回のテイスティングアイテムは、その最初期のリリース品に当たる1本です。
竹鶴シリーズは12年が2000年にリリースされ、17年、21年が翌年2001年3月から発売。この当時のボトルは"男性的"と例えられたずんぐりとしたシルエットで、違いは外観一目でわかるもの。そこに加えて、今回のボトルはニッカウイスキーが2001年4月にアサヒビール傘下となる前、1ヶ月だけのニッカウイスキー時代に発売された、貴重なロットという事になります。(もちろん、味はその後のものと大きく変らないとは思いますが。)
竹鶴シリーズのブレンド傾向は、17年が比較的樽感が強くある一方、21年は柔らかく上質な味わいをブレンドの方向性としている印象。フルーティーさと樽感のバランスが取れた、完成度の高いピュアモルトウイスキーがリリースされていました。
今回21年の初期ボトルを初めて飲みましたが、スッと入るスムーズな口当たりの中に非常に多彩な香味が感じられ、熟成感も豊富。しいて言えば、近年寄りのリリースのほうが香味にまとまりがあるとは感じたものの、今まさに高い評価を受けるブランドが産声を上げた当時の味わい、中々感慨深いですね。
さて、竹鶴シリーズにおいては、必ずセットとなるウワサのひとつが、ベンネヴィス蒸留所の原酒を使っているのではないかという話。今回の21年も、この多彩な香味の中には、確かに余市とも宮城峡とも違うように感じる要素が、無いわけではありません。
当時は国産メーカー同士の原酒のやりとりに加え、バルクウイスキーも安価で今以上に良質なものが購入できたとされる時代。ニッカの国内蒸留所以外の原酒が使われている可能性もあるわけですが、ことベンネヴィスについては蒸留所の稼動期間として、1978年から1984年まで生産停止、さらに1986年から1989年まで再度停止という記録が残っており、稼動が不安定だった時期に当たります。
加えて原酒はロングジョンなどのブレンデッドウイスキーに使われていた背景もあって、1980年代以前のベンネヴィスはボトラーズリリースからも少ない。そんな不安定稼動な時期の原酒を、2000年代に安定して確保できたかというと微妙な時期ではないかと思います。
複雑で奥行きとコクのあるモルトウイスキー。加水で柔らかさが飲み口に感じられる分、バランス寄りの香味に振れているが、しっかりとした熟成感と共に余市の香ばしくピーティーなモルティさ、宮城峡の華やかなフルーティーさが混ざり合う、多彩な香味が備わっている。

今や世界に名だたる日本製ウイスキー銘柄の一つとなった、竹鶴ピュアモルトシリーズ。今回のテイスティングアイテムは、その最初期のリリース品に当たる1本です。
竹鶴シリーズは12年が2000年にリリースされ、17年、21年が翌年2001年3月から発売。この当時のボトルは"男性的"と例えられたずんぐりとしたシルエットで、違いは外観一目でわかるもの。そこに加えて、今回のボトルはニッカウイスキーが2001年4月にアサヒビール傘下となる前、1ヶ月だけのニッカウイスキー時代に発売された、貴重なロットという事になります。(もちろん、味はその後のものと大きく変らないとは思いますが。)
竹鶴シリーズのブレンド傾向は、17年が比較的樽感が強くある一方、21年は柔らかく上質な味わいをブレンドの方向性としている印象。フルーティーさと樽感のバランスが取れた、完成度の高いピュアモルトウイスキーがリリースされていました。
今回21年の初期ボトルを初めて飲みましたが、スッと入るスムーズな口当たりの中に非常に多彩な香味が感じられ、熟成感も豊富。しいて言えば、近年寄りのリリースのほうが香味にまとまりがあるとは感じたものの、今まさに高い評価を受けるブランドが産声を上げた当時の味わい、中々感慨深いですね。
さて、竹鶴シリーズにおいては、必ずセットとなるウワサのひとつが、ベンネヴィス蒸留所の原酒を使っているのではないかという話。今回の21年も、この多彩な香味の中には、確かに余市とも宮城峡とも違うように感じる要素が、無いわけではありません。
当時は国産メーカー同士の原酒のやりとりに加え、バルクウイスキーも安価で今以上に良質なものが購入できたとされる時代。ニッカの国内蒸留所以外の原酒が使われている可能性もあるわけですが、ことベンネヴィスについては蒸留所の稼動期間として、1978年から1984年まで生産停止、さらに1986年から1989年まで再度停止という記録が残っており、稼動が不安定だった時期に当たります。
加えて原酒はロングジョンなどのブレンデッドウイスキーに使われていた背景もあって、1980年代以前のベンネヴィスはボトラーズリリースからも少ない。そんな不安定稼動な時期の原酒を、2000年代に安定して確保できたかというと微妙な時期ではないかと思います。
いずれにしても確かなのは、当時のウイスキー冬の時代だからこそ産み出された、逆境を打破するための気合いが込められたリリースであるということ。そして、その想いが作り出した未来が、今に繋がっているということ。このままリリースが続いて欲しい、ニッカウイスキーの名作です。
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