カテゴリ:
OBAN
Distillers Edition 
Distilled 2003
Bottled 2017
Montilla Fino Sherry Cask Finish
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:Y's Land IAN
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで品のいい甘み。ほのかにレーズンのアクセントと蜂蜜、オレンジピール。乾いたウッディネス、若干の干草ぽさから徐々に麦芽香が開く。

味:スムーズな口当たり、おしろいを思わせる麦芽風味が主体。柔らかいコクのある甘みが淡いシェリー感とともに広がる。余韻にかけてピートがほのかに感じられ、ほろ苦いフィニッシュに繋がる。

樽感と酒質のバランスが良く、品のいいシェリー感がハイランドらしい麦芽風味とともに感じられる。特に味わいは麦芽風味が中心で、余韻にかけてのピートフレーバーがオーバンらしさでもある。


今年のDE(ディスティラーズエディション)を象徴するような樽使いの1本。
昨年は比較的強めの樽感でしたが、今年はフィニッシュに使われた樽が酒質を圧殺するのではなく、荒い部分をマスクしてバランスを整えるような構成が印象的。ここ数年のオーバンDEの中で最も出来がいいのではないかと感じました。

(オーバン蒸留所は港町の真っ只中にあることで知られている。写真はオーバンの埠頭から見た夕日。街並みがより美しくコーティングされる瞬間。Photo by Y.A)

オーバンのDEに使われているのは、MHDの資料によるとモンティージャ・フィノシェリーでシーズニングしたシェリー樽(原文ママ)。
シェリー酒と言えばスペインのヘレス地方のワインですが、同様の酒精強化ワインはヘレス地方に限らず、様々な地域で作られています。今回のモンティージャ地方(原産地呼称、モンティージャ・モリレス)のワインは、ほぼ同じ製法なのですが、原料が甘口ワインで知られるペドロヒメネス種であること、それ故糖度が高く度数が上がるため、フィノタイプでは酒精強化を行わないという特徴があるようです。

最も、これは通常の製法であって、今回のようにシーズニングに使われているものが、どこまで同じタイプかはわかりません。
おそらく「モンティージャ」とまで指定してるので、ペドロヒメネス種を原料としているのはそうなんだと思うのですが。そのためか、従来のフィノカスクに比べて少し甘みやレーズンを思わせる風味が感じられるのも特徴だと思います。

(スペシャルリリース2018 画像引用:

なお、オーバンと言えばここ数年オフィシャルからスペシャルリリースがありませんでしたが、来年日本に入ってくるロットにはオーバン21年がラインナップされています。
DEも悪くないのですが、やはりスペシャルリリースの樽使い、蒸留所の個性を活かす構成は別格なものがあります。個人的にオーバンは好きな蒸留所でもあるので、来年のリリースが今から楽しみです。