カテゴリ:
MACALLAN
The Anniversary Malt
25 years old
Distilled 1964
Bottled 1989
Cask type Sherry
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@萌木の村 パーチ
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:華やかでしっとりとした香り立ち。ベリーや黒砂糖を思わせるふくよかな甘み、軽やかなナッツ、アーモンド、の香ばしさも混じるフルーティーさ。微かに古酒感。奥には土っぽさを伴う麦芽風味がどっしりとした存在感を発揮している。

味:スムーズでマイルドな口当たり。引っ掛かりのない上質な甘みは、ベリーやレーズンなどのダークフルーツソース、チョコレートケーキ、ほのかに黒蜜。柔らかいコクを感じる。
余韻は心地よくドライ、濃く入れた紅茶のタンニン、微かに土っぽいピート、華やかなシェリー香が鼻腔に抜ける。

マッカランがマッカランたる構成。端的に言えばシェリー濃いめでバランスが良いモルトということになるが、各要素一つ一つが整っていて、まるでビロードのよう。上質な味わい。


最近の更新で25年熟成のモルトウイスキーが続いていたので、オマケでもう一つ、マッカランのアニバーサリーモルトを。

1968年以前、まだマッカランがゴールデンプロミス種に麦芽品種を切り替える前、ゼファー種を使っていたとされる時代の仕込み。樽も自社製造が行われる前で、最近では所謂"リアルシェリー"と言われるボデガから排出された良質なシェリー樽が使われていた頃のもの。不味い訳がありません。
ただマッカランに限らず、各蒸留所で黄金を冠する麦芽品種が使われ始める前の時期が、モルトウイスキーの黄金時代と言われるのは、少々皮肉なことではあります。

この当時のオールドマッカランの特徴には、樽の良さに由来する芳醇なシェリー感や原料由来の麦芽風味もさることながら、その上に成り立つビロードのように滑らかな口当たりがあると感じています。
12年クラスはまだ荒さが残っているものの、18年あるいは25年となると、その滑らかさには一気に磨きがかかり、それは単に熟成を経てまろやかになったというよりは、整いつつあったものを加水でさらに整えたというイメージ。
例えるなら木材のカンナがけ。どんなものでも美しく仕上がるのではなく、木目のしっかりした木材であるからこそ、削り出した後で美しく仕上がるのです。

他方、そうして度数を下げたウイスキーは、シングルカスクのボトルに比べて経年によりヒネやすいという印象もあります。
今回のアニバーサリーモルトはというと、そうしたネガティブ要素は少なく、まさに前段の特徴がはっきりと感じられ、まろやかでコクのある味わいは極上の甘露。素晴らしい状態でした。


以下、余談というかトリビア。
ちょうど昨日ウイスキー仲間とのメッセンジャーで話題になったのですが、マッカランの名前の由来を"聖コロンバの丘"とする説があります。
この説はゲール語的にも立地的にも間違っているという話で、そのため最近は減ってきていますが、未だ引用している媒体も見られます。
他にもウイスキー関連では怪しい話はいくつもあり、マッカランでもう一つ言えばロールスロイスなる売り文句も。こうした話も、ウイスキーの素性と合わせて調べてみるとなかなか面白いです。