カテゴリ:
IMG_6884
BOOKER'S
Aged 7 years 5 month
Distilled 1984
Bottled 1991-1992
750ml 124.6Proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:4~5ヶ月程度
評価:★★★★★★(6-7)

香り:ツンとして強い刺激を伴うメローな香り。奥からチョコレート、キャラメル、シロップ漬けのチェリー、微かに植物を思わせるニュアンスが花の香りに繋がる。時間経過で刺激よりも甘みが優位に。

味:パワフルで甘酸っぱいコクのある口当たり。キャラメルやチェリー、ほのかにブラッドオレンジ、余韻にかけて力強く広がる。
余韻はスパイシーでウッディ、ほのかにえぐみ。キャラメルを思わせるメローな甘みを伴い長く続く。

王道的なハイプルーフバーボンだが、オールドバーボンらしく単にパンチが強いだけでなく、どこかコクのある甘みを備えている。加水すると香味の刺激が和らぎ、マイルドで香味の広がりが感じられる。 ロックも同様に氷に負けない甘みとボディがある。


ジムビーム社のスモールバッチシリーズ、プレミアムバーボンの筆頭とも言えるブッカーズ。
60%オーバーのまさに樽出しというハイプルーフな仕様、そしてわかりやすくパワフルな味わいに、ファンの多いバーボン銘柄の一つです。
一昨年年末くらいには、大幅値上げであるというニュースが本国であったと思えば、昨年中は日本への輸入が止まるとか、度数の仕様が変わるとか色々噂はあった銘柄。ですが、今の所安定して供給されているようです。

同銘柄の発売は1988年。そのブランドのはしりは、当時の蒸留所責任者であったブッカー・ノウ氏が、知人などへのプレゼントとして、樽だしの原酒を配っていたことが始まりと言われています。
ブッカー氏の考えは、バーボンは樽出しが一番うまいというもの。例えボンデッド(50%)であっても、加水が行われていればボトリングまでの間に失われてしまう香味がある。バーボンとしての魅力を最も味わえるのは、やはり樽出しあるいはそれに近い状況を維持した上で、飲む直前に加水なり手を加えるべきと考えていたようです。

確かに、自分が持っているミニ樽であっても、樽から出した直後の味わいは、その後消えてしまうような繊細な幾つかのニュアンスを含んでおり、それが美味しさに繋がっているとも感じます。
その香味が織りなす多彩さを味わえるのは最高の贅沢。蒸留所責任者である同氏の理想が体現され、当時のオフィシャルラインナップとしては珍しいバレルプルーフのバーボンが発売されるのは、自然なことだったのかもしれません。


さて、ブッカーズは6〜8年間熟成させた原酒の中で、ピークを迎えた樽を選定、何十樽かを混ぜ合わせてボトリングするスモールバッチバーボンです。
現行品も仕様はほとんど変わっておらず、相変わらずパワフルな味わいなのですが、甘みにコクがたりないというか、ドライ寄りというか、樽由来の渋みが増えたというか。。。他のバーボン同様かつての香味から変化が見られます。

ブッカーズブランドでは発売当時から数年間は、ブッカーノゥズ(Booker Noe's ※通称:ブッカーズ ノエ)というラベルも並行して展開されており、こちらはティンキャップのブレンデッドのようにぱっと見わかるオールドボトル。人気があってオークション等で競争激しい銘柄なのですが、対して今回レビューする同時期流通のブッカーズは時期が判定しづらいのか、前者ほど高額な戦いにならない傾向があります。

両ブランドの違いは定かではないものの、原酒は同じジムビームのバレルプルーフ。まあ全体的にブッカーノゥズの方が多少味がいいような気もしますが、そもそも90年代以前流通のバーボンでハイプルーフは大概うまいんです。
そんなわけで、ブッカーノゥズは手が届かないけど、美味しいハイプルーフバーボンを家飲みしたいという方は、ロットナンバーや付属パンフデザインの違い、後はラベルの微妙な違いから、当時のブッカーズを探してみるのも一案です。