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SPRINGBANK
Local Barley
Aged 10 years
Distilled 2007
Bottled 2017
No of bottles 9000
700ml 57.3%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:強いウッディさからオレンジピール、ザラメ、キャラメル、燻した麦芽。香りに溶け込んでいるようなスモーキーさ。ほのかにハッカと硫黄香のニュアンスも。

味:口当たりは粘性があり、蜂蜜や淡いシェリーのニュアンス、干し草、出がらしのお茶、奥から麦芽風味。やや荒さがあり、徐々にヒリヒリとした刺激が感じられる。
余韻はドライでスパイシー、存在感のあるピートとローストした麦芽の香ばしさ。パワフルで長く続く。

酒質のらしさよりも樽感が強く、相乗効果で味の濃い短熟系シングルモルト。特にシェリー樽熟成の原酒が香味に複雑さを与えている。好みを分ける味わいだが、加水すると華やかな樽香が開いて親しみやすくなる。


スプリングバンクが2015年から5年間で5作リリースを予定している、ローカルバーレイシリーズの3作目。
蒸留所から8マイル以内にある農場で作られた地元産の麦芽を、地元産のピートを使ってフロアモルティング。近年のスプリングバンクは、トミントールなどの内地のピートを2種類使っているようですが、ローカルバーレイ用には現地のものを調達しているようです。

率直な感想を述べれば、他のスプリングバンクと比較して、これぞローカルバーレイというほど地元産原料を使うことに対するメリットは感じないのですが、ウイスキーは古来"地のもの"であったわけで、特別感を楽しめるのは事実。
また、独自のモルティング由来か、近年のスプリングバンクの味の強さ、癖、麦感は健在。樽比率はバーボン樽70%にシェリー樽30%で、酒質をさらに上塗りする複数の混じったような樽感が味の複雑さに繋がっていると感じます。


さて、これまでのローカルバーレイ3作を振り返ると、酒質由来の香味が強かったファーストリリースの16年に対して、この2年間の11年、10年と、熟成年数が短くなるごとに樽感が強くなっていく傾向が感じられます。その樽感は、ローカルバーレイ11年は通常ラインナップの10年、ローカルバーレイ10年は15年の延長線上にあるという印象です。

その仕上がり具合には様々な意見がありますが、短熟化が進んだためか特別なラベルを背負うオフィシャルのリミテッドでありながら、手を出しやすい価格帯のリリースが続いたのは、その手のリリースをとんでもない値付けで展開しがちな某社と違って有難い方針でもありました。
今年、そして来年のリリースは18年程度のミドルエイジに戻っていくか、あるいは8年などのさらに短熟を挟んで、1999年仕込みで20年か21年熟成まで引っ張ってフィニッシュでしょうか。

なお、ローカルバーレイの仕込みは現在進行形で行われており、以下の写真のようにローカルバーレイであることは鏡板にも書かれています。この5作とは別に、引き続き10年から15年程度のリリースが続くのではないかとも感じています。