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SPRINGBANK
Campbeltown Single Malt
Aged 15 years
Cask type Sherry
2017's
700ml 46%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み@LIVET
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:厚みと重みのあるしっかりとしたアロマ。バンクらしい蝋系の麦感に熟したパイナップルを思わせるアクセント、淡い硫黄香の混じるスモーキーさと甘い樽香、ゴムっぽいニュアンスも感じる。

味:口当たりは香り同様に厚みがあり、蜂蜜、蝋系の麦感、オレンジピール、ゴムっぽいシェリー感も混じる。重いスモーキーさが鼻に抜けていく。
余韻は染み込むようなピート、ビターチョコ、軽い刺激を伴うドライなウッディネス。微かな塩気を伴って長く続く。

酒質的にはらしさが濃縮されたモルトだが、樽感にある多少のネガ要素が評価を分けるモルト。香味とも厚く、加水すると個性を残しつつもまろやかでバランスが良くなる。



2017年にリニューアルしたスプリングバンクのオフィシャルラインナップ。
コアな飲み手に熱狂的ファンの多い同蒸留所にあって、自分の周囲からも15年について評価の声が聞こえていたところ。機会があったら飲もうと思いつつ、最近まで飲んでませんでした(汗)。

オフィシャル15年は、メーカー発表ではシェリー樽100%ということなのですが、その香味はこてこてのシェリーカスクではなく、ほとんどがセカンドフィル以降でシェリー感があまり出ないタイプがメインという印象。
それ故、酒質部分のバンクらしさが強く出た味わいとなり、蝋っぽさを感じる独特な麦芽風味と余韻の塩気、厚みのあるボディが感じられるところに、シェリーカスク由来のゴムっぽさも混じるといったバランスに仕上がっています。

このスプリングバンク蒸留所らしさと言える個性的な麦感がどうやって作られるのか不思議なのですが、同じ設備で作られるロングロウ、ヘーゼルバーン以外に麦芽を共有するキルケランにも同様のニュアンスがあるので、やはりフロアモルティングが影響しているのかなとしか考えられません。


(スプリングバンク蒸留所の3器のスチル。スプリングバンクの蒸留プロセスは、原酒の一部を3回蒸留する通称2回半蒸留のシステムで知られる。なおスピリッツセーフ内部がとてつもなく。。。なのだが、味に影響はないのだろうか。Photo by T.Ishihara)

今回のオフィシャルラインナップのリニューアルで、華やかでフルーティーさが強くなった10年や、ファーストフィル系のシェリー感の強い12年、リフィル系主体で酒質由来の要素が強い15年と、旧ラインナップに比べて位置付けが整理された感があります。
どれが好みかと言われたら、とっつきやすさとバランスは間違いなく10年で、個性を楽しむならネガな部分に目を瞑って15年かなと。ただ、近年のバンクシェリーカスクに何故か多い硫黄系の要素、ゴムっぽさに耐性のある人なら全ラインナップを美味しくいただけるのではないでしょうか。