カテゴリ:
KOMAGATAKE
Natural Cask Strength
Hombo Shuzo
Aged 30 years
Distilled 1986
Bottled 2016
Cask type Sherry
700ml 53%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y’s Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香木を思わせるような華やかで強いウッディネス。ツンとしたアタックが鼻腔を刺激する。奥から洋菓子、メレンゲクッキーのような甘い香りとドライアプリコットや黄桃のニュアンス。

味:乾いたウッディネス、ややギスギスしたアタックの強い口当たり。同時に華やかで、おしろいのような香りが鼻腔に抜ける。
熟したアプリコットや蜜っぽい甘さ、ほのかにハーブも感じるが、全体的には樽感主体。フィニッシュはドライでオーキー。濃く入れたフレーバーティー、渋みを伴うウッディさが長く残る。

樽感が強く、そうしたウイスキーに見られるサラサラとしたような口当たりやウッディネスが特徴。まさに樽を詰め込んだモルト。加水すると華やかな香りはバランスが良くなるが味は樽感が分離するようでややぼやけてしまう。難しい。


先日投稿した、駒ケ岳30年シェリーカスク48%(右)と同じ樽構成で、ブレンド比率違いと思われるシングルモルト。
今回のボトルは樽出しそのまま、カスクストレングスバージョンとしてリリースしているわけですが、樽構成を裏付けるように、どちらのボトルも香味の構成は同じベクトル上にあります。

それはシェリーカスクと言うより、複数回使用した後のプレーンカスクや、シェリー感の薄い樽だったのかオークフレーバーを主体とする構成。ただ48%仕様のリリースと比較すると、今回のボトルの方が樽由来の要素が強く、樽在そのものがより濃く溶け出ているようで、なかなかアクの強い味わいに仕上がっています。例えば使った2樽の原酒のうち、片方の樽感が強く、その原酒の比率が高いのかもしれません。

ゆっくりと香りを楽しみ、文字通り舐めるように舌と口を慣らしながら時間をかけて飲んでいく。30年の時の流れを感じるように楽しむボトルであると思います。


1985年創業の信州蒸留所において、今回の一連の1986年リリースはまさにこれまでの歴史が詰まっている一つ。あくまで樽由来の要素とわかっていても、緑萌える木々に囲まれた信州の環境を連想する事が出来る風味でもあります。

まあテイスティングコメントでは檜風呂とかウッドコテージとか、資材置き場なんて表現もありそうですが(笑)。
なお、2本を比較すると、今回の仕様は53%でナチュラルカスクストレングスなのですから、48%の方も60%から10%以上落としたというレベルではなく数%程度と考えられます。
仮に加水前が同じ53%だったとしても約1.1倍。本数を増やすより味を整えた意味合いが強かったのではないでしょうか。

こうしたウイスキーにおける加水の是非は様々ありますが、全体のバランスを考えた時に酒質と樽感との駆け引きというか、無視できない要素なんだなと改めて感じさせられました。
これも同時にテイスティングしたからこそ感じる事ですね。