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WILD TURKEY
MASTER DISTILLER SELECTION
Aged 14 years
2006's 
750ml 53.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7-8)

香り:パワフルでウッディーで濃い甘みを伴う香り立ち。りんごのカラメル煮やメープルシロップ、チェリー、ドライクランベリーを思わせる甘みの奥から感じる穏やかな酸味。ほのかに植物が燃えたあとのような焦げ感もある。

味:とろりとした甘い口当たりから、スパイシーなウッディネス。しっかりとしたパンチのある味わい。香り同様の赤い果実の甘酸っぱさに加えてキャラメリゼ、徐々にほろ苦い味わいが余韻に掛けて感じられる。
フィニッシュはビターでスパイシー。華やかな樽香が鼻腔に抜け、実に長く続く。

パワフルだが熟成したバーボンの深いコクと甘酸っぱさのある味わい。合わせて感じるスパイシーなウッディネスがワイルドターキーらしさでもある。
少量加水するとさらに華やかな樽香、これは銘酒だ。機会があれば是非ロックも試して見たい。


2007年、サンフランシスコで開催されたスピリッツコンペにおいて、アメリカンスピリッツ部門の最優秀賞を獲得したという1本。リリースは6000本限定で、日本市場向けとして流通したようです。
WEB上の記録では、当時のマスターディスティラーであるジミーラッセル氏が、46万の貯蔵原酒の中から素晴らしいひと樽に出会ったことがきっかけとなり、このマスターディスティラーセレクションがリリースされたのだとか。

ただ、1樽でボトリングできるのは精々200本程度なわけですから、限定6000本という30倍のリリースは、同じように素晴らしい樽が30樽あったのか、それとも鱗を1枚貼っただけのレプリカなのか。文句なく旨いバーボンですので前者だろうと思う反面、こうしたリリースを作ろうと思い立たせるさらに素晴らしい原酒なら、それを飲んでみたくもあります。
いやほんと、バーボンって度肝抜かれるような原酒が今なおあったりするんですよね。特にターキーにあっては、現行品がもはや目も当てられないレベルになってしまっただけに、そうした原酒に出会いたい気持ちはひとしおです。

さて、このリリースの良さは、なんといってもターキーとして旨いという熟成のバランスにあると感じます。
人によってはウッディでスパイシーなアタックが気になるかもしれませんが、元々ターキーはこの荒々しさというか、樽をしっかり焼いたアタックの強さが売りの一つ。そこに12年を越える熟成したバーボンらしいコク、甘み、そして個人的に旨いバーボンの条件とも言える赤い果実のニュアンスが感じられ、熟成のバランスが整っているのです。

この日、バーボンは愛好家垂涎と言えるリリースをいくつも飲みましたが、一番印象に残ったのはこのワイルドターキー14年でした。月並みですが、素晴らしい出会いに感謝です。