ドメーヌ オニョアス 51年 1965-2017 バコ THE BOW BAR向け 42%
DOMAINE D'OGNOASBAS ARMAGNAC
Aged 51 years
Distilled 1965
Bottled 2017
Bottled for THE BOW BAR
700ml 42%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封後1週間以内
参考評価:★★★★★★(6ー7)
香り:穏やかな酸味を伴う華やかなウッディネス。杏子、メープルシロップ、バタークッキー。徐々に香木、ウェアハウスの湿ったようなウッディネスも伴う。
香り立ちは時間経過で非常によく、長い眠りから解き放たれるよう。
味:まろやかで華やかな口当たり。蜜のような甘みにブラッドオレンジや白ぶどうの酸味、じわじわとカカオチョコレートのほろ苦さ。ボディは程よく、深みに繋がっている。
余韻はウッディでビター、非常に長い。焦げたえぐみを伴う過熟気味の樽香、チャーオークのニュアンスも感じられる。
角の取れた香味と深みのある味わいに長期熟成アルマニャックの良さを感じる。
一見すると過熟気味の要素もあるが、それを補う香味の開き、多彩さがあり、開封後の変化に期待出来るだけでなく、時間をかけてじっくりと味わいたい。
札幌の名店、THE BOW BARの本間氏が選定、ボトリングした半世紀を超える長期熟成のアルマニャック。
正直アルマニャックは詳しくないので、素性の詳細は信濃屋さんの販促ページをご覧ください。という無責任なことしか言えませんが、そこから引用させて頂くと、オニョアスはバス・アルマニャック地方において最も古い歴史と多くのストックを持つ生産者の一つであるのだとか。
こうした現地生産者とのコネクションは、いかに情報社会といってもメールを送って「じゃあこれからよろしく」というワケにはいきません。
スコッチは既にいくつかのボトラーズや蒸留所との連携がある為、先立つものがあればなんとかなる場合もありますが、ブランデー、それもカルヴァドスやアルマニャックはまだまだ未開の地。酒販のインポーター以外に、今回のTHE BOW BARように現地とのコネクションを築いてきたBARの存在が、日本と様々な佳酒を繋ぐ架け橋となっているんですね。
今回のアルマニャックですが、赤みがかった美しく深い色合いから察することが出来るように、かなりの熟成感がある1本です。
特にテイスティングの通り香味の多彩さ、一見すると過熟気味なウッディーさが強く、この点は個人的にあまり得意ではない要素ながら、その奥から開いてくる多層的な香味が短期熟成では得られない"時を飲む"という贅沢な質感をもたらしてくれます。
レビューはいつものテイスティンググラスですが、大ぶりのグラスで香りを開かせながらじっくりと楽しみたい1本です。
以下余談。
ブランデージャンルで現地とのコネクションを築いているBARとしては、西から小倉のスタッグ、京都のカルヴァドール、K6、東京浅草のドラス、そして札幌のボウバーなどが有名(抜けがあったらごめんなさい、コッソリ教えてください)。
このブログでも何度か紹介しているカルヴァドス・アプルヴァルはその一本に該当しますし、現地の旅を著書としたドラスのマスター中森氏の「旅するバーテンダー」は、合わせて読むとさらにお酒が美味しくなる読み応えのある1冊です。
コメント
コメント一覧 (4)
著者のRating The ProducersはOutstanding 4 Excellent 14 Very Good 31 Good 37 Average 30のところ、こちらはExcellent Producersとなってます。
データで気になるところを抜粋しますと。
Soil:Sables Fauves(Iron-rich sand)
Grapes used for armagnac:Bacco(30-40%)Ugni Blanc(60-70%)
Alcohol degree when leaving the still:52%
Barrels:Oak from the propety
Chai:Several well-ventilated barns,with both cement and dirt floors
Production of armagnac per year:120hl a.p(60barrels)
Stock:850hl a.p(425barrels)
Oldest spirit in cask:1958
といったところです・・訳せなくてごめんなさい。
いつも情報の補足、ありがとうございます!
今回の情報も素晴らしいですね。
生産者として最高の評価を受けているという話は成る程なと思う一方、最も古い樽が1998年時点で1958年というのは意外でした。ブランデーなので100年クラスのもっと古い樽があるのかと。。。というか、2017年の現在は1965年の今回の樽は最長熟成クラスになっているのではと。
そう考えるとこのボトリング、本当に貴重な樽を出してもらっていたんですね。
大変参考になりました!
この本のRatingはProducersとNegociants(商社)が別になってまして。
スコッチならバランタインやG&Mにあたるシャボーやダローズなどにはもっと古い熟成樽があったのかもしれませんが記載はなく。
Excellent以上の18Producersでは不明が2、最古はDomaine de Sansの1932で2番目がOgnoasの1958なんですよ。
1959(私の誕生年)がひとつある他は60年代以降で。
アルマニャックは40年ではもう完熟と考えられているようですよ。
また、ラルース酒事典のアルマニャックのところの記述に
・・1947年から1950年までブランデー生産は減少し、純粋アルコールにして1946年に5万hℓあったものが、1947年には一気に1万4,700hℓに減り、1949年は1、750hℓに落ちた。これは、アルマニャック地方で一般に「ブイユール・ド・クリュ」(自家用ブランデー蒸留者)と呼ばれる生産者が借金を背負い込み、法外な課税に耐えかねて蒸留をあきらめてしまったからである・・
とありますのでもともと50年代の在庫が少なかったのかもしれません。
アルマニャックは40年で完熟ですか、確かに樽に入れているモノで材料が麦か葡萄かですから、違いはあまりないのかもしれませんね。
古いものだと50年、60年ものとか結構ありますし、限定ものだと100年クラスもあったりするので、ついついウイスキーの2倍くらいは長期熟成可能なものなのだと思ってしまっていました。
そう考えると、今回の1965も相当古い樽ということなんですね。
そういえば、ウイスキーでは戦時中、戦後に生産量が落ちていて、ブレンデッドにしても味が落ちる時期が1950年代にありました。
これが税金によるものかわかりませんが、こちらもジャンルは違えど動きは同じですね。
勉強になる情報、ありがとうございました。