カテゴリ:
GLENMORANGIE 
ASTAR
2017 Release
700ml 52.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとしたドライな刺激と軽やかなオーク香、干し草を思わせるウッディネス。淡くバニラ、あまり熟してない洋梨を思わせる甘い香り。

味:乾いたウッディネスのドライな口当たり。ほのかにオレンジ、薄めた蜂蜜のような軽いコクのある甘み、徐々にスパイシー。全体のバランスが良く、余韻にかけて綺麗に酒質と樽感が繋がる。
フィニッシュはドライでスパイシー、オーキーな華やかさを伴い長く続く。

ハイプルーフらしくスパイシーな刺激はあるが、シャープな方向に全体のバランスが整っており、洗練されている印象を受ける。加水すると乾いた麦芽風味、クリーミーな口当たりが際立つ。


グレンモーレンジの新しい旅(アスター)の始まり。5〜10年前頃から飲んでいた愛好家には非常に馴染み深く、バーボン樽と言えばコレという代表的な銘柄だったアスターが遂に復活しました。
旧ボトルとなるかつてのアスターは、2008年に発売され、2012年に終売。流通量が多かったためその後も姿を見ていたボトルですが、こうして復活するとなると感慨深い想いがあるのは私だけではない筈です。

旧アスターはグレンモーレンジの樽に対するこだわり、研究の成果とも言えるバーボン樽"デザイナーズカスク"を用いて熟成された銘柄。パワフルで華やか、はっきりとしたオークのフレーバーが魅力でした。(デザイナーズカスクの詳細はぐぐってくださいw)
思えば2008年当時、これほど露骨にバーボン樽由来のフレーバーを前面に打ち出したオフィシャルリリースはハイランドモルトにはなく、飲み手に衝撃を与えたのは勿論、その流通量から現在のシングルモルトの代表的なスタイルを広く認知させたのも、この1本だったように思います。

では今回のリリースはというと、その血脈は形を変えつつも受け継がれています。
まず旧ボトルとの違いですが「より洗練されている」と言うのが第一印象。
旧ボトルのアスターは露骨なオークフレーバーというか、バーボン混じってませんか?というくらい樽感が濃く、荒さもあって、「開封後1年した方がフルティーさが開いて美味しい」なんて意見もあったほど。
新しいアスターはその辺りの余剰な樽感が削ぎ落とされ、オーキーな華やかさがありつつも、スレンダーで綺麗なモルトに仕上がっています。

度数が57.1%から52.5%に低くなったことか、あるいは構成原酒の熟成年数が変わったか、スレンダーと評したように全体の線は細くなりましたが、このボトル単体で考えればこれはこれというバランス。あと何よりグレンモーレンジのハイプルーフは、スパイシーで華やかな味わいが麦芽風味と馴染んで美味いんです。
上述のバランスの良さと合わせ、口開けからあまり時間が経ってないにも関わらず、美味しく楽しむ事が出来ました。
国内への正規輸入はまだ始まっていませんが、並行品は入荷が始まっているようですので、そう遠くないうちに正規品も展開されるのではないでしょうか。今後のメーカー発表が楽しみです。


<追記>
11月21日、MHDからグレンモーレンジ・アスター2017の限定展開の発表がありました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000268.000006986.html

価格は11000円、近年のウイスキーの相場からすれば標準的な設定かと存じます。平行品はもう少し安いかな?
数量限定品で、どの程度流通しているかはわかりませんでしたが、グレンモーレンジらしい旨さのあるボトルを、しばらくは安定して楽しむことが出来そうです。