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WILD TURKEY
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON
8 Years old
1970's
1Quart 101proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:艶のある甘みとベリーやチェリーの果実香。メープルシロップ、カカオを思わせる焦げたオーク材。華やかでウッディなアロマが、穏やかでありつつも、じわじわとスパイシーな刺激と共に香り立つ。

味:コクのあるまろやかな口当たり、小麦を思わせるような柔らかさと落ち着いた甘み。甘酸っぱくクランベリーや焦がしたバニラ、徐々にキャラメリゼのほろ苦くビターな味わいへと繋がっていく。
余韻はドライでウッディで力強い。スパイシーな刺激と焦げ感を伴いつつ、華やかで艶のあるオーク香が長く続く。

ワイルドターキーの魅力が十二分に詰まった実にウマい1本。この時期のバーボンに多く見られるコクと甘酸っぱい赤い果実のニュアンスを伴いつつ、ヘビーチャーを施す処理故か焦げたウッディネスもらしさとして感じられる。余韻にかけて力強さが増していく構成で、ストレート、少量加水、ロック、どの飲み方でもOK。


個人的に"メンチ切りターキー"と呼んでいる、ターキーの顔が正対した、若干エイリアンっぽくてキモいデザインの8年ハイプルーフ。
この系統のラベルは、かなり古い時代から2000年頃まで続くため、一見すると見分けがつきづらいですが、日本市場には1970年代以降のボトルの流通が多く、ネック部分に使われたシール素材やコルクキャップ部分の違いを認識すれば、比較的容易に見分けられます。
また、1970年代から1980年代のロットにおける新旧の区別は、裏ラベルのバーコード有無で線引きすることも可能です。(アメリカは1980年代初頭からバーコードが酒類に採用されているため、08バーコードがあるほうが後期ロットということに。)

ワイルドターキーは、1980年代流通のゴールドラベルで七面鳥が空を飛ぶ、12年熟成の通称"フライングターキー"が高い評価を受けていますが、この"メンチ切り"ターキーも負けず劣らず素晴らしいバーボンだと感じています。
昔はもっと荒々しかったのかもしれませんが、経年で落ち着いた飲み口に広がる華やかでコクのある甘み、果実を思わせる甘酸っぱさ、余韻にかけて強まる香味の刺激。1990年代の8年熟成も決して悪くないのですが、完成度が頭ひとつ違います。

そしてそれは現行の8年を何十年熟成、瓶熟させようと、ベースが違いすぎて辿り着かない領域でもあることは言うまでもなく・・・このレベルのバーボンを量産していたのですから、古のアメリカはなんと言う技術を持っていたのでしょうか。
昔安かった時期にいっぱい買っておけばよかったとか、後悔しているボトルです。

近年、モルトウイスキーの長期熟成原酒が枯渇する中、グレーンウイスキーの長期熟成原酒がリリースされるシーンが度々見られるようになってきました。
もちろんそれはそれで美味しいものもあるわけですが、であればこそバーボンにあまり興味がないというスコッチタイプ派のウイスキードリンカーにも、この辺りのボトルは是非飲んでもらいたいですね。
ひょっとしたら、新しい発見(沼)があるかもしれません。