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BEN WYVIS
SINGLE HIGHLAND MALT
INVERGORDON DISTILLERS
Gall & Gall Netherland
Aged 10 years
2000's
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@個人所有ボトル
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:青みがかった植物や穀物系の香ばしさ、ほのかにバニラ香、奥からケミカルなニュアンスも感じるアロマ。バランスは良い。

味:水っぽい口当たりで序盤は香味が主張しないが、徐々にモルトスナックを思わせる香ばしい麦芽風味、薄めた蜜、微かに土っぽさ。
余韻はほろ苦く、鼻抜けに青みがかった植物感。モルティーで長く続く。

オーソドックスなハイランドタイプの一種。加水が効いて飲みやすい、普段飲みの使えそうな1本だが、これという強みはあまり感じられない。


ベンウィヴイスは、日本ではレディバーン、キンクレイスと並んで三大レアモルトとされる幻の蒸留所の一つ。インヴァーゴードン・グレーン蒸留所の敷地内に建設され、操業期間は1965年から1977年の僅か12年間。作られた原酒はブレンドに回されており、シングルモルトとしてテイスティングできる頻度は最も少ないであろう蒸留所の一つ。。。であるわけですが、よく見るとこのボトルは何かおかしいことに気がつきます。

というのも、1977年に閉鎖されたはずの蒸留所が、なぜ1990年代以降に10年熟成のシングルモルトをリリース出来るのか。
実はこのボトル、ウイスキー愛好家の間では「ベンウィヴイス名義を使った別物」として有名な、地方の商店?(Gall & Gall Netherland)のプライベートリリース。
中身はインヴァーゴードン系列の蒸留所のシングルモルトが使われており、例えるならスプリングバンクがリリースするヘーゼルバーンやロングロウ的なものとも言えるかも知れませんが、経緯も蒸留所も明らかでないこのリリースは、ちょっとやり方が違う気がします。


その紛らわしさ故、海外ではベンウィヴイスの短熟オフィシャルと勘違いする方々も見られる一方。珍しさも相まって、ある種コレクターズアイテムにもなっている1本です。
いつか飲んでみたいと思っていたボトルでしたが、今回なんとウイスキー仲間のNさんのご好意で、この偽ベンウィヴイスだけでなく、ホンモノのベンウィヴイスと飲み比べという、大変贅沢なシチュエーションで実現することとなりました。

味については熟成年数などのスペックの違いは差し引いても別物・・・なのは当たり前として、案外といっては失礼ですが、麦芽系の風味が主体的な、普通に飲めてしまうハイランドスタイルのモルトです。
その中身は、インヴァーゴードングループ関連の蒸留所のどれかと考えれば、麦感、青みがかった要素に土っぽさ、ダルモアが有力候補かなと感じられる要素がいくつかありました。

当時の販売価格は、一般的なスタンダードのシングルモルトと同様、お手頃な程度だったようで、売り手としてはシャレのつもりだったのでしょうか。当時は今ほど閉鎖蒸留所が注目されるとは思っていなかったのかも知れません。
今のように情報が拡散し、記録、精査される時代ではない、おおらかな時代だからこその偶然。ちょっとしたイタズラというか、それを楽しむ気持ちで飲みたい1本ですね。