サントリー リザーブ 10年 シェリー樽仕上げ 40%

SUNTORY WHISKY
SPECIAL RESERVE
Matured in Sherry Cask
Aged 10 Years
700ml 40%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★(5-6) (!)
香り:黒糖パン、チョコレートや微かにレーズンを思わせる甘い香り立ち。奥には乾いた穀物、経年からくる淡い古酒感と合わせ、ツンとしたアルコール感が鼻腔を刺激する。 時間経過で華やかさも。
味:香り同様の構成で、とろりとした口当たりから黒砂糖やココアを思わせるシェリー感、じわじわと若い原酒の甘みと刺激、干草のようなウッディネスが甘みとあわせて鼻に抜ける。
余韻はスパイシーでピリピリとした舌への刺激と、下顎、舌の付け根にねっとりと残るシェリーの甘みが長く続く。
ベースにあるのは中庸な若いブレンデッドだが、フィニッシュに使ったとされる樽の効果か、黒糖感のある旧ラベルマッカランにも似たシェリー感が付与されている。サントリーのブレンドらしくロックでも崩れず、若さが整えられて甘くスムーズな香味を楽しめる。この価格帯にして素晴らしい仕事だが、ハイボールは微妙。。。
発売当時はノンエイジ品として製造されていた、サントリーリザーブ。1996年に10年表記にリニューアルした後、1998年に姉妹品として発売されたのが、今回紹介するリザーブ10年シェリー樽仕上げです。
確かキムタクがCMをやっていたので、こっちの方はご存知の方も多いと思います。
10年熟成のモルトとグレーンで作ったブレンデッドウイスキーを、シェリー樽で再熟成。どの程度の期間かはわかりませんが、結構しっかりとシェリー系の香味が感じられるので、例えばファーストフィルで半年から1年くらいは詰めてある感じでしょうか。
全体的な印象としては、仕上げが荒いとか、ブレンドが若いとか、突っ込みどころは少なからずあるウイスキーですが、それは些細なことと言えるシェリー樽の香味。オークション価格ではなく、実売価格2000円前後(定価2100円)のブレンデッドウイスキーで、これほどのシェリー感があるものは、まず記憶にありません。
シングルモルトの需要が今ほど高くなく、さらに国内市場で数があまり出なかったウイスキー冬の時代が重なったからこそ出来たリリースと言えそうです。
ちなみに近年の流通品で言うと、少し価格を上げればネイキッドグラウスがシェリー感あるブレンデッドとして有力候補です。
ただ、ネイキッドグラウスは最近のシーズニングシェリー味。対してこのリザーブ10年シェリー樽仕上げは、マッカラン混ざってないか?と思えるほど、2000年代当時の同蒸留所スタンダードリリースの味わいが上面に乗っかっているのです。
邪推すると、万本(何万リットル)単位で出荷される普及品ブレンデッドに、1樽500リットル、当時既に入手困難とされつつあったスペイン直輸入のシェリー樽を何千樽も割り当てただろうか?(例え本命を詰める前のアク抜きでも・・・)などの疑問がないわけではありません。
ただそれらを今更考えるのは、あまり意味はないというか、野暮ですかね。だって美味しいんですから。
冬の時代が生み出した今は亡き一品。もし酒屋やスーパーなどで見かけたら、是非普段飲みに試してみてください。
コメント
コメント一覧 (10)
これ、昨年の夏頃に地元の小さな酒屋で埃をかぶっていたのを定価で買いました。
まだ開けていませんでしたが、いずれ開ける日が楽しみです(*^^*)
2000年初頭のマッカランなど飲んだことがないので、これで雰囲気を感じてみたいです♪
また見つけたらストックしておかないと!!
なんでもコレ作るときに1stフィルのシェリー樽にウイスキーぶち込んで振ってたとかいう裏話を聞いたことがあります。
ちなみに山崎のシェリーではなく白州のシェリーとのこと。
このボトルは美味かったです。
ミレニアムシリーズとセンチュリーシリーズを飲んだ時にも感じたのですが、高度経済成長期のイケイケの時代に仕込んだ大量の原酒が、ウイスキーが売れない氷河期であるこれらのボトルがリリースされた90年代半ば~00年代前半に過剰在庫になってしまい、半ばヤケクソでボトリングした可能性があります。
そうでなければ、原酒の質と価格のアンバランスさの説明がつきません。
もし原酒が余ってるから安く叩き売りをせざるを得なかったのだとしたら、タイムマシンにタンクを搭載して満タンに詰めて現代に帰ってきたいものです(^^;)
ベースは若いのですがしっかりあるシェリー感にびっくりです。
ストレートで刺激が気になりましたら、ロックで飲むといい感じにカドがとれてくれます。
今この価格帯でこの特徴を持ったブレンドはなかなかないのでオススメですよ!
いつもありがとうございます。
成る程、確かにそういう整理なら出来るかもしれませんね。
白州なのもこのアタックの強さは納得出来る要素。
ただそのために1stフィルというウイスキードリンカーの間で重宝されるであろうスペックを捨ててしまうのか。。。というのは疑問が残りますが、何れにせよ冬の時代だから出来たことで、今はやれないのは間違いなさそうです。
おっしゃる通りですね。
この時期はニッカもサントリーも、みんな原酒が潤沢だったと思います。そしてとにかくブームを、人気を盛り返したいと。。。
それは他のリリースを見ても明らかです。
タイムマシンがあるなら自分も破産するほど買いますねw
7年ほど前に処分品として980円で結構な数が売られていて、
そのうち8本だけ購入し、
1本だけはその際に飲んで、
残りはまだしまってあります。
飲んだ時の感想の記録を調べてみたのですけど、
あまり高い評価をしていませんでした。
一体どんな飲み方をしてしまったのか?
残りは心して飲みたいと思います。
前も書いたような気がしますが冬の時代ってのは(当然サントリーに限らず)こういうオーバースペックだたったり、いい意味で価格と中身が全く釣り合ってない製品が多くなるんですが逆にブームが来るとそういうのは完全に消え去り、違う意味で価格と中身が釣り合ってない製品が増えるという…悩ましいですね。
いえ、このウイスキーの評価は2分されると思っています。
自分のようなウイスキー沼にどっぷりハマっている人からすると、シェリー樽のニュアンスがこの価格帯としてはしっかりと備わっていて、コスパがいいとなるのですが。対してベースの原酒は少し荒いというかピリピリした刺激もあるため、その点で「普通だね」となるケースも見られました。
ただ、このウイスキーが980円ならコスパは超良好ですね。
ロックなどでゆっくり飲むには丁度いいので、心してなんて肩肘張る必要はなく、普段のみで使って行けば良いのではないでしょうか。
原酒は常に一定量作らなければならない、しかし保管場所は限られている、製品を作らなければスペースはあかないが、冬の時代は消費者が少なく、そもそも収益が出ない。そんな中で無理してでも作らなければならなかったということでしょうか。
このリリースに限らず、そうした動きは多く見られるように思います。
そして、ブーム後の動きも。。。バランスが難しい話ですが、どちらが良いのか悩んでしまいますね。