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SPRING BANK
MURRAY McDAVID
Aged 34 years
Distilled 1965
Bottled 1999
Cask type Fresh Sherry
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:華やかで瑞々しいシェリー香、長熟赤ワインのような落ち着きと高貴なアロマ、皮付きの黒葡萄、レーズンチョコレート、ほのかに土っぽい香りもある。

味:スムーズで香り同様瑞々しい口当たり。皮付き葡萄、ほのかにベリー感、果実味に続いてタンニンが強く広がる。
余韻は果実の皮のような渋み、酸味を伴うウッディネスが甘みに置き換わり長く続く。

ワインのようなウイスキーで、樽の役割を考えさせられる。加水の影響かボディは然程厚くなく、バンクに期待するらしさはあまり感じられなかった。ただ見方を変えれば面白さのあるウイスキー、ストレートで楽しみたい。


マーレイマクデビッドからいくつかリリースされていた、スプリングバンク1960年代蒸留のうちの1本。
1990年代、経営が軌道にのる前のスプリングバンクは、オフィシャルボトルにすらカスクオファーの用紙を付けて一般販売していたくらいですから、当然ボトラーズによる樽の購入も多かったのでしょう。今では考えられないような価格で60年代、70年代の樽が売られており、2000年代前半にかけてリリースが集中した時期でもありました。
自分もひと樽欲しかった。。。と、そう考える今の飲み手は自分だけではないと思います(笑)。

さて、1960年代のスプリングバンクと言えば、泣く子も黙るウエストハイランド、そしてローカルバーレイを生み出した伝説的な時代。
グラスに注いだそれは赤みがかった美しい色合いで、期待を膨らませながらテイスティングすると、香りはともかく味はちょっと不思議なワイン系の香味。
加水調整か、あるいは「フレッシュシェリーカスク」ゆえシェリー成分が多めに混じったか、スムーズで甘みもある口当たりから特に後半はタンニン、ウッディーなフレーバーが支配的になる、例えるなら赤ワインのような構成なのです。

樽感主体とはいえ美味しいは美味しいのですが、この時代のバンクに期待したいレザー感や複雑さ、独特の厚みを伴う麦芽風味など、求める要素があまり感じられなかったのが少し残念な部分でした。
この当時のバンクは今以上に酒質がバラつく印象もあり、これもそのうちの一つということなんでしょうか。

余談ですが、当時のモルトマニアックスアワードでの評価は93ptと上々だったそうで、シェリー系統の濃いフレーバーが好まれるのは変わらない。
ブレないという意味で自分の記事もそうありたいものです。