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TSURU
NIKKA WHISKY
(No Aged)
2016's
700ml 43%

グラス:国際規格テイスティンググラス
量:30ml
場所:BAR飲み(ゾートロープ)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとドライで華やかな香り立ち。最初はあまり強く香らないが、アプリコット、煮た林檎の甘いフルーティーさ、奥から乾いた牧草を思わせるウッディネスが感じられる。

味:複雑でスパイシー、心地よい樽香を伴う口当たり。バニラ、アーモンドナッツ、キャラメリゼ。中間に若い原酒の軽さが顔を出すが、それをグレーンのコクのある甘みが包み込んでいく。
 余韻はスウィートでスパイシー。ほのかにスモーキー。カラメルソースのほろ苦い甘み、古樽のえぐみを伴い長く続く。

幅広い熟成年代の原酒が使われていると感じる、フレッシュさとまろやかなコクが合わさったノンエイジらしいブレンデッド。あまりスモーキーではなく、求めている鶴らしさは・・・。加水するとバランスが取れるが加減が難しい。

昨年秋頃から、余市、宮城峡の両蒸留所でひっそりと販売され、ひっそりと消えていったニッカウイスキー のブレンデッド最高峰、鶴の限定品。(余市蒸留所を訪問した仲間から、販売再開している旨連絡がありました。2017年4月9日追記)
2015年まで販売されていた鶴17年は、熟成した余市、宮城峡原酒の個性や熟成感のあるコクがしっかり感じられる銘酒で、もっと評価されても良かったと思うのですが、ネット検索では竹鶴17年が引っかかってしまう日陰者感。。。
ブーム前にストックしておかなかった事を、非常に後悔している銘柄でもあります。
そんなわけでこの蒸留所限定品の鶴、手の入らないまでも機会があったら飲みたいなと思っていたところ、流石国産ウイスキーの総本山であるゾートロープさん。しっかりとカウンターに鎮座していました。
こんな時に限ってカメラを忘れ、携帯撮影の不恰好な写真で申し訳ありませんが、そこは目をつぶって頂きテイスティングに移ります。

ノンエイジのブレンデッドなので、ある程度若い原酒が使われているであろう事は想定通りでしたが、驚いたのはブレンドのベクトルがこれまでの鶴17年とは全く異なっていることです。
特に鶴17年に感じられた余市原酒の熟成感やスモーキーフレーバーが乏しく、構成は宮城峡の熟成原酒に若い余市原酒少量、ミドルエイジのグレーンという感じ。これまでの鶴の味わいをイメージして飲むと、控えめな個性に「あれ?」となります。
それこそこれは鶴ブランドで出さなくても良かったのでは・・・。

他方、これが全く悪いブレンドかというと決してそういう事はなく、バランスのとれた美味しさのあるブレンデッドであることに違いはありません。
現状使える原酒の中で作られた意欲作、あるいは販売期間で考えると何かの試作品でしょうか。
ニッカのブレンデッドがザニッカ12年で最高峰というのは、少々寂しい今日この頃。原酒は厳しいと思いますが、こういう形でも良いので細々とブレンデッドウイスキーの上位グレードも生産していって欲しいです。

蒸留所の話題繋がりで余談。3月27日に宮城峡蒸留所の新しいビジターセンターがオープンしたそうですね。
赤れんがが閉店し、限定商品も乏しくなって寂しい空気の漂っていた宮城峡に嬉しいニュースです。後日実家帰りした際に寄ってみたいと思います。