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CAPERDONICH
DUNCAN TAYLOR
Rarest of the Rare
Distilled 1969
Bottled 2011
700ml 40.3%

グラス:木村硝子テイスティング グラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:華やかでオーキーな香り立ち。りんごのコンポートやピーチ、微かに青っぽさ、ハーブ。バニラの甘みと徐々に広がる香ばしいニュアンスがクレープを思わせる。まるで洋菓子のようなアロマが充実しているだけでなく、加水するとより華やかで、微かにオーク由来のナッティーさ、熟したバナナのような甘い香りが開いてくる。

味:ドライで華やかな口当たり、林檎系の果実風味、奥には乾いた牧草のような植物感。じわじわとスパイシーな刺激が舌を刺激する。余韻はウッディーでドライ、喉の奥からスパイシーな刺激が戻ってきて長く残る。
加水すると刺激が収まりウッディーなニュアンスとのバランスも改善するが、少し水っぽくもなる。 

華やかでエッジの鋭い、いかにも度数落ち長期熟成原酒というライトな香味だが、香りの奥行きとボディにコクがあり、繊細だが飲みごたえがあるという相反する要素がこのボトルの完成度を一段高めている。ストレートで楽しみたい。


グレングラントの第二蒸留所であり、シーバスリーガルの構成原酒でもあったキャパドニック。
同蒸留所は1898年に創業後、紆余曲折の末半世紀にわたる操業停止を経て1965年に再稼働、1967年には拡張工事が行われたとのことで、今回の原酒は拡張後に蒸留されたものに。。。
などと歴史的な経緯を説明しても味わいにはなんら関係づけられないのですが、キャパドニックはその後1977年にシーバスリーガルの傘下へ入り、2002年に操業休止、2010年には蒸留棟も取り壊されてしまいました。

(というキャパドニック蒸留所の歴史の概要が、ボトルの裏にひっそりと書かれています。)

ダンカンテイラーのレアレストオブザレアは、そうした閉鎖蒸留所の原酒を集めてボトリングしていた、今は亡きブランド。シングルカスクでのリリース以外に、閉鎖蒸留所の原酒だけで作ったブレンデッドなどもリリースされていました。
なんというか、いかにも世界的なウイスキーブームが起こる前、2010年頃らしいリリースでもあります。

今回のボトルは、そんなダンカンテイラーの代名詞と言えるフルーティーフレーバーが全開なわけですが、それがキャパドニックらしい部分を後押ししており、ボトルとしての完成度は比較的高いと思います。
同銘柄はブレンド向けのモルトであり、オフィシャルボトルはほとんどリリースされていないので、ハウススタイルと言われると中々難しいものの、ボトラーズリリースから感じる傾向としてはスペイサイドらしい華やかさと、そこにフルーティーさがしっかりと発散してくる。個性という点では中庸で、繊細でありながらスパイシーで飲みごたえがある。ブレンドには使いやすかったのではないかと感じられます。

そんな優良原酒がなぜ閉鎖したのかと言えば、冬の時代の煽りか、設備老朽化か、あるいはシーバス社が保有する同系統の原酒の重複でしょうか。
それこそシーバスリーガル25年などの長熟ブレンドを飲むと、ストラスアイラ、グレンキース、キャパドニック。。。などの銘柄に共通するモルティーな華やかさがはっきりとあり、原酒の存在を感じることが出来ます。