カテゴリ:
YAMAZAKI
Suntory Single Malt Whisky
Aged 10 Years
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅@マッスルKさん
時期:不明
評価:★★★★★(5-6)

香り:やや青みがかった香り立ち。乾いた木材、麦芽、ほのかにドライナッツ、時間経過でバニラの甘みが開いてくる。

味:少し粘性のある飲み口からドライ、スパイシーで青みがかったウッディネス。度数以上に強さのある口当たりで、じわじわと開く蜂蜜の甘み、乾いた植物感、青りんご。
余韻は淡くエステリーで華やかだが若干の刺々しい刺激も伴う。

ストレートでは樽香と酒質のバランスが取れているとは言い難く、加水で整えられている以上に荒さが目立つ。もう少し熟成が必要だが、ロックやハイボールなら充分楽しめる。

先日ウイスキー仲間宅で開かれた持ち寄り会で、ちょっと懐かしいボトルに出会いテイスティングさせてもらいました。
山崎10年は白州10年同様に2013年頃まで発売されていた、12年の廉価版。2012年に発売されたノンエイジに普及品のバトンを渡す形で終売となりました。
今回のボトルの流通時期は、表記がピュアモルトではなくシングルモルトであることから終売間際と考えます。

一般的な構成としてシングルモルトの山崎はシェリー、ホワイトオーク、ミズナラなど様々な樽で熟成させた原酒を使って作られる中、10年はそうした原酒の中でも特にホワイトオーク樽を軸としています。
ただ、ホワイトオークとして真っ先に連想するであろうバーボン樽のようにエステリーでフルーティーな構成ではなく、やや青みがかった木のアロマ、植物っぽいニュアンスから、パンチョンのように大ぶりな樽か、あるいはリフィル樽の比率が多い印象を受けます。
後に発売されるワイン樽などを使って甘口に仕上げた山崎ノンエイジと比較すると、ずいぶん違う系統だと言えます。

この手の構成のウイスキーは、ストレートで飲むとまだ若い印象も同時に受けるものの、ハーフロックやハイボールなど、手を加えた飲み方にするなら話は別。樽材由来の木の香味が心地よく、爽やかに飲み進められ、むしろ12年より使いやすいとさえ感じる場面もあります。
山崎10年が発売されていた当時はウイスキー冬の時代。ハイボールブームを仕込んでいたサントリーとしては、12年とは違うステージで勝負できるレシピを考えていたのかなと思うのです。


以下雑談。ちなみになぜこれが懐かしいボトルなのかというと、自分の大学院時代、教授へのギフトに山崎が送られてくる事が度々あり、夜の研究室で研究のことや他の教授の悪口とか、他愛もない話をしながら飲んでいたことから。
自分が就職して間も無く恩師は退官、あの研究室で飲み交わすことはもうなくなってしまっただけに、自分の中で山崎10年は青春時代を思い出す、ちょっと懐かしいウイスキーなのです。