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HIGHLAND QUEEN
"Grand 15"
Aged 15 Years
1960's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml(サンプル@愛知のSさん)
場所:自宅
時期:開封後4ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:オレンジママレード、鼈甲飴を思わせる甘く厚みのあるモルティーさ。徐々にオールブラン、ローストした麦芽を思わせる香ばしさと、軽くナッティーで、存在感のあるスモーキーフレーバーが開く。全体的には古酒感に加え微かにヨードのようなアロマも。。。

味:まろやかな口当たり、クラッカーを思わせる乾いた麦芽風味、砂糖漬けオレンジピール。徐々に土っぽく、存在感のあるピートフレーバーが開く。
余韻はスパイシーでドライ、しっかりとスモーキー。序盤のフレーバーと混ざり合って、ピートが張り付くように長く残る。

オールドの魅力、古典的ハイランドスタイルを、そのまま体現したようなブレンデッド。
状態が良いボトルであるだけでなく、強いピートフレーバーが時代を感じさせる。これはストレートで楽しみたい。


ハイランドクイーンのキーモルトは、グレンマレイ、そしてグレンモーレンジを含む複数の蒸留所。1970年代、洋酒輸入自由化後の日本市場では、グレンモーレンジの正規輸入元である野澤組繋がりで、比較的流通の多かったと推察されるブレンデッドです。

現在のリユース市場では、プラスクリューキャップ時代の1970年代から、トレードマークが変わった1980年代後半まで見られることも多く、オールドボトルファンであればまず知らない人は居ないのではと思うところ。
一方でコルクキャップが採用される1970年代より古いボトルは、他の銘柄同様に国内流通量が少なく。トレードマークである馬上の女王、メアリー・スチュワートの周りに扇形の集中線が入る1950年代以前流通は、国内市場ではまずお目にかかれません。 
今回のボトルは1960年代イタリア流通品、ウイスキー仲間とのサンプル交換で頂きました。


キーモルトの話に戻ると、元々グレンマレイはブレンド向けの原酒として広く展開されていた反面、グレンモーレンジは他社への樽売りが行われなかった銘柄とされています。
そんなグレンモーレンジが使われているとあっては、現行品よりもモルト原酒の個性が強いオールドボトルが、ウイスキー愛好家の気を引くのは自然な流れと言えます。

(グレンモーレンジ蒸留所外観。グレンモーレンジは内陸のイメージが強いが、海辺に立つ蒸留所の一つ。写真奥にはドーノッホ湾が見える。photo by K67)

グレンモーレンジは今でこそほぼノンピートで華やか、ラグジュアリーを冠する垢抜けた味わいとなっていますが、かつては地酒よろしく麦の個性やピートも存在感のあるモルトウイスキー。
というか、スペイサイドを含むハイランド地方が全体的にそういう系統でした。

今回テイスティングしたボトルも、そうした原酒の影響を受けている構成で、全般的に土っぽいピートフレーバーが強い1950年代蒸留の原酒を彷彿とさせるキャラクターが充実しています。
まさに古きよき、いにしえの時代のハイランド。モルトウイスキーでは流通量、価格共に中々手が出ませんが、その特徴を感じられるブレンデッドは、今の時代にあって貴重な1本でした。