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SPRINGBANK
BURGUNDY
Aged 12 Years
Distilled 2003
Bottled 2016
Cask type 1st fill Burgundy
700ml 53.5%

グラス:シュピゲラウ グランドテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅(持ち寄り@Tさん)
時期:直近開封
暫定評価:★★★★★(5)

香り:蝋っぽやゴムっぽさの混じる強い麦芽風味と、人工的なベリーシロップを思わせる甘い香り立ち。プラスチックや樹脂を思わせる癖、若干の草っぽさにえぐみも少々。
シロップの甘みは果汁の入っていないお菓子や薬に使われていそうなそれ。わざとらしくも感じる。

味:口当たりはべったりとしており、濃く入れた紅茶を思わせる渋みと苦味、そこに安い苺ジャムを入れたよう。微かに溶剤っぽさ、乾燥した植物、硫黄のニュアンスも僅かながら感じられる。
ハイプルーフらしくアタックは強く、ボディも厚みが感じられるが香り同様人工的なベリー系の甘さに違和感が残る。
余韻は蝋っぽさのある麦芽風味と焦げたピートのスモーキーさ。徐々にドライでビターなフィニッシュ。


イギリスでは7月3初頭、日本では8月中旬に正規品が発売された、スプリングバンクのニューリリース。
昨年は15年シェリーカスクが似たようなラベルでリリースされたところ。今年のリリースはシェリー樽ではなく、熟成に使われたというバーガンディーカスクは、そのままの意味でとればフランス、ブルゴーニュ地方でワイン樽ということになります。
サイズや仕様の詳しいことは公式発表にも記載されておらず、香味や色から考えると赤ワイン樽だとは思いますが、どこの生産者であるかは不明。ただワイン側から調べて見ると、ブルゴーニュで一般的に使われる樽のサイズは228リットル程度であるようで、カスクストレングスでアウトターン10260本は、少なくとも30樽以上が使われている計算となります。

WEB上の情報では、先行してリリースされた本国では好評だったとのことですが、口開けは樽感と酒質の部分に分離感というか荒い要素があり、これらが慣れてくる時間が必要であるように感じます。
特に樽由来と思しき苺系の風味にまとわり付く人工的なニュアンス、溶剤や樹脂系の癖、そうした香味があるコトで、バンクらしい個性的な麦芽系のフレーバーと馴染めていない印象を受けるのです。

まあわかりやすいといえばわかりやすい香味なので、どっかん系が好みな海外の方だと案外高評価になるのかも・・・。
なお、先日のローカルバーレイ16年のように、スプリングバンク蒸留所のブレンド、ボトリング能力では大量に生産した際の撹拌誤差が生じることもしばしばあるようです。
このボトルもまた本国向けと違いが出ているのか否か、そこは気になるところです。

今回のボトルは、ウイスキー仲間が開催したホームパーティーにご招待頂いた際、いつもお世話になっているTさんが持参されました。
Tさん自身違和感を感じられていたようで、ばっさりお願いしますと、そんな前置きと共に頂いたわけです。
確かにこれまで記載の通り、判り易さの反面違和感を感じるところもあります。
スプリングバンクは近年ワイン樽などの異文化交流をスモールバッチなどで展開してきましたが、今回のボトルは気難しいヤツでしたね。
後の変化に期待したいと思います。

追記:先日自宅セミナールームにてイギリス向けのボトルと、国内正規品を同時開封の上、飲み比べてみました。
何度か確認しましたが、そもそも濃い香りなので違いがわかりにくいものの、UK向けの方が甘い香りが強い気がします。
このボトルは我が家の押入れの中で同環境で数ヶ月保管した上で、開いた後の違いを再度比較してみます。