カテゴリ:
IMG_0856
GLEN GARIOCH
SAMAROLI
(Aged 26 years)
Distilled 1971
Bottled 1997
Cask type Sherry Wood
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(持ち寄り会@Mさん)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:フローラルでピーティーな香り立ち。脂肪酸、香水、乾いた麦芽の軽やかな香ばしさ。複雑で熟成感があり、古酒らしくこなれた柔らかさ。
加水するとピーティーさと麦芽、アーモンドナッツ、若干の油、際どくソーピー系になりそうなアロマが開いてくる。

味:柔らかくとろりとした口当たり。華やかでフローラル、フルーツ缶詰のシロップのような甘さ、乾いた麦芽、ハイランド系のピートフレーバーが徐々に強く、後半にかけてほろ苦くビターな味わい。
余韻はスモーキーで長い。加水すると麦芽風味とパフューム一歩手前のニュアンス。もう一歩でソーピーなフレーバーが出そうな危うさがある。

お久しぶりのサマローリ・グレンギリー1971の加水仕様。
サマローリでグレンギリーで1971というと、8年59.6%が伝説的なボトルの一つとして君臨しているわけですが、その陰には43%加水で25~26年熟成のグレンギリーもあるのです。
シェリーカスクでの熟成で300本のボトリング。リフィル系の樽かシェリー感は淡く、バットにしては本数が少ないため、リフィルホグスでの熟成か、あるいは他社から小分けに原酒を購入したのかもしれません。

その香味は加水らしく柔らかい香りと口当たり、所謂パフューム香はありませんが、1980年代流通のギリーオフィシャルボトルにあるような「後一歩でパフュる」系のフローラルなフレーバー。動物性の油、油脂のようなニュアンス、そして染みこむようなハイランド系のピートフレーバーが、何とも"らしい"と感じます。

状態としては写真からも伝わるように、Goodコンディションで、変なヒネもなく見るたびに惚れ惚れしてしまいます。
ただボトル個体差かもしれませんが、以前テイスティングした時よりもフローラルさ、後一歩の感覚が強くなったような印象があり、ひょっとすると経年によって刻々とソーピーな方向に変化しているのかもしれません。
GMのブラウンコニッサーズに代表されるように、加水系のボトラーズリリースは、そういうフレーバーのない蒸留所でも経年でソーピーなフレーバーが出る事例があり。何よりグレンギリーは1970年代後半(あるいは1980年代)あたりから病にかかる蒸留所ですから、可能性は十分ありそうです。

このボトルを最初にテイスティングしたのは6年前になります。
テイスティング後、目白の田中屋の上の棚のほうでこのボトルを見かけ、手の届く値段だったのでどうするかなーと思っていたらいつの間にか売り切れていて・・・そして先日の持ち寄り会で、まさにそのボトルが目の前にあり、開封を任せて頂きました。いやほんと、ウイスキー業界は狭いですね(笑)。



余談ですが、サントリーがグレンギリー12年の正規輸入を止め、平行品等で販売されていたノンエイジのファウンダーズリザーブに切り替えるみたいですね。
近年のグレンギリーはスモールバッチ系のリリースが充実しており、そうしたラインナップを正規で拡充して販売して欲しいと常々希望していたのですが・・・。実質的に縮小したような形になってしまいました。
ファウンダーズは海外評価はそこそこですが、熟成感は12年より一段落ちる印象があり、個人的には少々残念です。