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TOMATIN
Cadenhead Small Batch
Aged 35 Years
Distilled 1978
Bottled 2014
Cask type Bourbon Hogshead
44.4% 700ml

グラス:創吉テイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅 (持ち寄り会@Yさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキー、そしてケミカル系のフルーティーな香り立ち。ドライアップル、洋梨、ほのかにイチゴキャンディのような人工的な甘い香りもある。

味:さらりとした口当たりから香り同様にケミカルなフルーティーさは、林檎のコンポート、微かに杏、ファイバーパイナップル。バニラのような甘みも広がってくる。度数相応にボディは中程度かやや軽く、後半にかけては干した藁や麦芽の軽やかなえぐみとほろ苦さ。
余韻は華やかで序盤に感じたケミカル系のニュアンスを残しつつ、麦芽風味と乾いたウッディネスが長く残る。


ケイデンヘッドからリリースされた、所謂新しいほうの黒ケイデン、スモールバッチシリーズのトマーティン。 
長期熟成の原酒が枯渇し始めた2014年頃の市場流通で、近年あれだけ乱発した1976ビンテージもついに在庫の底が見えてしまったんだなと、時代の移り変わりを感じたリリースでもありました。

当時あまり意識していなかったのですが、このスペックのトマーティンは2種類リリースされているようです。
1つは2013年に594本ボトリングで44.1%。そしてもう一つが今回テイスティングした2014年に216本のボトリングで44.4%の仕様。どちらもバーボンホグスヘッドでの熟成ですが、容量的に594本はどうがんばっても取れないので、複数樽バッティングなのでしょう。
海外サイトを回って以下のカードをUPしているサイトを見つけましたが、594本のほうは樽の表記がBourbon hogsheadsで"s"付きの複数形になっていました。

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このボトルをテイスティングするにあたり、着目点は2つ。1つはトマーティンの1976年、77年の蒸留に見られた、ある種"らしさ"とも言えるケミカルなフルーティーさが1978年蒸留にも備わっているかということ。そしてもう1つは、黒ケイデンのボトリングは作為的なフルーティーさが備わっているものが度々あり、このボトルのスタイルではどう出てくるのかというもの。

まず前者は1976各種ほど強くはありませんが、それでもはっきりと感じるケミカルフレーバーが「ああ、トマーティンだわ」と感じさせてくれます。 この76年前後でピークがあり、80年代にかけて薄くなっていく傾向にある、灯油系というかケミカルなニュアンスは何で出るんでしょうね。
そしてもう一つの黒ケイデン的な何かですが、バーボンホグスで度数落ちであるためかさらさらとした口当たりに、フルーティーさは少々リキュール的な要素も感じられ、これもまたらしいといえばらしい。
これもまた露骨に効いているという感じではなく、あくまで補正の範囲かなという感じでは有ります。

突き抜けないですが、らしさもあり、そしてバランスよくフルーティーで美味しくまとまったモルトでした。
そんなに昔の話でもないですが、こういうボトルを飲むと我々世代の飲み手は「懐かしいな」って思ってしまいますね。