カテゴリ:
KURAYOSHI
PURE MALT WHISKY
Matsui Whisky
No age 
Made in Nippon 
43% 700ml

グラス:グレンケアン
量:50ml(頂き物@TBさん)
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★(4)

香り:爽やかだが、乳酸系の酸味と麦芽、トゲトゲした刺激の強いニューポッティーな香り立ち。
時間とともにニューポッティーさはどんどん強くなってくる。焼く前のパン生地の甘く酵母が混じったような香りに溶剤系の刺激もある。

味:水っぽく麦芽風味主体の口当たりから、徐々にちくちくとした荒さを舌に感じる。
ニューポッティーで複雑さはなく単調な構成。余韻はスパイシーで加水とは思えないほど口の中がヒリヒリする。
乾いた牧草や麦芽、微かなピートフレーバーのほろ苦さを伴うあっさりとした余韻。


先月、鳥取にある松井酒造合名会社がノンエイジ、シェリーカスク、18年と3種類リリースしたピュアモルトウイスキー。そのノーマルなノンエイジ仕様が今回のボトルです。

※ご参考
・倉吉 NA ピュアモルト シェリーカスクのレビューはこちら
・倉吉18年 ピュアモルトのレビューはこちら

ラベルだけ見ると、突っ込みどころが満載・・・と言う話はさておき、日本産をにおわせる表記があり、鳥取にある倉吉蒸留所で蒸留、熟成された原酒に、一部外部から調達した日本産の原酒を使ったピュアモルトであるかのように見えます。
しかし実際は倉吉では蒸留は行っておらず、ハイランド産の原酒を輸入し、そこに国内の提携蒸留所から調達したウイスキーをバッティング。マリッジと加水調整のみ鳥取県の倉吉で行ったという、確かに日本産は日本産なのですが、言ってしまえば海外産の肉を輸入して、国内で加工して「国産」表記にしてしまうそれと類似の臭いを感じます。

まあ、クラフトディスティラリーが外部調達の原酒に頼っている状況は今に始まったことではなく、それそのものがNOであるとは言いません。バルクの使用は多かれ少なかれ、大手も一通り使用している的な説もあるわけで、旨いウイスキーを造ること、その1点で考えれば選択肢を増やしている積極策としても評価できます。

ようするに、松井さんはやり方がまずかったんですね。
紛らわしい説明文やPRから、案の定リリース当初は一部で物議を醸したようです。
それが原因かどうかは知りませんが、5月11日現在WEBページまで「リニューアル中」表記になってしまっています。ブームに乗っかるべく、ちょっと頑張り過ぎちゃいましたか・・・。

話が周辺情報に集中してしまいましたが、その中身は非常にニューポッティー、体感熟成期間は3年程度。ハイランドの原酒を使っているのもあって、スコッチスタイルの若いウイスキーという感じで、若さゆえ全体を通して単調な仕上がりにも感じられます。
絶対的に熟成が足りてませんが、酒質はそこまで悪いと良い切れる素性のものでもなく。今後松井酒造が蒸留を行うようになり、こういう酒質のウイスキーを造れるなら、10年熟成した先にある本当の倉吉ウイスキーの姿は面白い仕上がりになるんじゃないかなと思います。

ご参考②