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GLENMORANGIE
ArtisanCask
2004's
500ml 46%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで少し粉っぽいオーク香主体の香り立ち。白桃やドライアップルのようなフルーティーさ、ビスケットを思わせる麦芽香、徐々に若い酸味も感じられる。 

味:スムーズでほのかな粘性を伴う口当たり。香り同様にオーキーで華やか、白桃、蜂蜜、後半は厚みのある麦芽風味。余韻はピリッとスパイシーでドライなオーク香が長く続く。


グレンモーレンジがデザイナーカスクを発表する前、その前身として2004年に販売したのがアルティザンカスク(アーティザンカスク)です。
グレンモーレンジらしい癖のない麦芽風味に、柑橘や白桃を思わせるフルーティーなオーク香がマッチ。46%と加水されているため飲み口はスムーズで、バーボン樽にありがちなギスギスした木の香味も控えめ。後のアスターなどの試作品的な位置づけですが、素直に旨いと言えるボトルに仕上がっています。

デザイナーカスクは、日当たりの悪い斜面に生える木目の詰まったホワイトオークを、2年間天日干しで乾燥させ、4年間テネシーウイスキーを詰めて熟成に使用したもの。対するアルティザンカスクは、乾燥期間が18ヶ月と6ヶ月短く、それ以外は同じ仕様となっています。

このシステムを見て思い出すのがマッカランのシェリー樽製造方法。樽を作ってボデガに渡し、シェリーを詰めてもらうアレです。
このシステムはシェリー樽不足を補う目的がありましたが、バーボン樽は製法上手に入りやすく、しかも良質な原酒を払い出した後の良質な樽が多くあったであろう1990年代の時点で、アルティザンカスクのシステムを作ったのは流石の先見の明だと思います。


というのもここ最近、バーボン樽そのものの製法が変わってきており、良質な樽の確保が難しくなってきているそうです。
禁酒法廃止以降、バーボンそのものの需要は増減を繰り返しながら増えてきたわけですが、量産体制が敷かれる中で、樽に使用するオーク材を自然乾燥ではなく機械乾燥させる動きがでてきました。
機械乾燥では早く仕上がる代わりに、オーク材のアクが抜けきらず刺々しい味になるのだとか。
最近、同じ熟成年数でありながら、メロウな木香を感じない代わりにセメダインのような刺激を強く感じるボトルが、特に低価格のバーボンに増えてきています。原因は様々あるのでしょうけれど、大きくは樽の製法に違いがあると考えています。
(この辺もシェリー樽の件と同様にキッチリ深堀したいです。)

同じバーボン樽熟成でありながら、蒸留所がによって目指すべきフルーティーさが出ていなかったりするのは、こういうところの違いが出てるためなんだろうなと、改めてグレンモーレンジの凄さを感じました。