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先日、株式会社ハイドアウトクラブから、ウイスキーのテイスティング記録や情報交換等ができるiphone(iPad)向け無料アプリ「HIDEOUT CLUB」の先行公開が始まったので、早速使ってみました。 

結論から言うと、先行公開時点ということもあり記録アプリとしての使い勝手は及第点。 フェイスブックに近い形式のため、今後はその差別化が急務かなと。
投稿された内容の検索・統計機能の充実など、幾つか改善点が残されていますが、今後の展開次第では、ウイスキードリンカーご用達のアプリになる可能性も秘めていると思います。

 
HIDEOUT CLUB
https://hideoutclub.jp/
日本初!ウイスキー特化のコミュニティアプリ『HIDEOUT CLUB』がローンチ! 
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000017245.html

プレスリリースに書かれているように、ウイスキーの記録アプリは海外版が主流で、現在開発・公開されている国内向けのアプリはありませんでした。(以前はあったようですが、今は開発がストップしてしまっているようです。)
元々仲間内で、直感的に操作できるウイスキーの記録アプリを作れればと意見交換をしていた中で、今回のアプリの公開。早速インストール・・・と思ったら手持ちのiphoneがiOS9.0以上にアップグレードされてなくて、まずはそこから・・・とやきもき時間を過ごしてインストール終了。
いくつかマイナーな不具合があって「ウーン」となっていますが、それもアプリのためガマンします。


1.ユーザー登録
完全に独立したアプリかと思いきや、お約束のFacebook連携はされていました。
これについては賛否あるので、個別で登録するのも良いですし、Facebook IDでログインするもよし。
少なくとも使い勝手をまとめる今回の記事の本流ではないので、その議論は割愛します。

2.記録してみる
このアプリの主な機能は「飲んだウイスキーの情報を記録して管理できる」ことにあり、そこからデータベースを構築したり、ユーザー間の交流に繋がっていくのがメインの流れとなる模様。
早速先日飲んだばかりの「グレンリベット・ファウンダーズリザーブ」を登録してみます。 

 

操作は悩まず直感的に進められるフォーマットで、iPhoneの画像フォルダから写真をアップし、ボトル名称と評価を登録。コメント、諸情報は必要に応じて入力する形式です。
これが思いのほかさくさく進んで、飲んでいる合間でも登録できそうなほど。
ボトル名称は選択式で、ボトラーズなども含まれるため色々候補が出てきます。今回はオーソドックスなグレンリベットだけに、いきなりマニアックなものがドカッと出てきました。
自分のような飲み手は問題ないでしょうけど、普通の人だと驚いちゃいそうなラインナップです。
(このボトルラインナップがどういう基準で並んでいるのかも、ちょっと謎です。)



ニューリリースやマニアックなボトル等、アプリ側に登録されていないボトルはユーザーサイドからの新規登録が必要になります。
ただ、ボトル情報は思いのほか多く登録されているため、通常利用する上で新規登録画面に当たることはあまりなさそうです。
ありがちなのが日本語的な読み方の違いで、結果が出てこないこと。今回のボトルなら、「リザーブ」と「リザーヴ」の2種類の読み方が一般的。しかし重複して新規登録されても、英語表記によって統一する整理がサーバー上ではされているようです。 
検索しても出てこない場合は、英語表記を入力するなど、工夫してみると良いかもしれません。

 
 
スコアは5.0が基準になって、そこから0.1点刻みで0~10点までの間で評価します。 0点は低評価、10点は高評価で、特にそれ以外の基準は設けられていないようです。
テイスティングコメントや、バックストーリー等は選択式ではなく、ユーザー側で手入力する方式。記録アプリとしては原始的ですが、その分浅くも深くも使える形になっています。
これら評価やコメントと合わせて「一緒に飲んだ友人」「飲んだ場所」の登録も可能です。
BAR飲みの場合は「このBARにこのボトルがある」という検索指標に使えますから、情報が集まってくれば飲みたいボトルを探すときに効果を発揮しそうです。 

また、本アプリは「個人の記録用」で使う目的にも対応するため、プライベートモードの有無も選択できるようになっています。公開前にチェックすれば、後述するフィード上にアップロードされないため、自分の記録用ツールとしても使用可能です。
数多く飲むとついつい忘れがちな、いつ、どこで、何を飲んで、それはどんな香味だったのかを、ボトルの写真付きで整理できるのは、これだけで結構便利だと思います。(後は検索、統計機能が充実したら最高です。)


3.交流する
このアプリはウイスキー特化の交流アプリでもあるため、ボトルの情報蓄積だけではなく、他ユーザーとの交流もサービスに含まれています。
先ほど投稿したボトル情報は、非公開にしなければフィードに展開され、それがきっかけになるイメージ。 
ここではフォロー機能に加え、コメントやイイネ系の機能等もあり、Facebookのタイムラインと同様の構造ですが、ウイスキーアプリらしくボトル毎に連携も取れる作りになっています。
ラックやフィード上の投稿の右下、「ボトル詳細」を開くと、ボトルのスペックや他の人の評価を閲覧出来ます。
本アプリは公開されて日も浅く、特定のボトル以外はまだ連携した評価を見れませんが、フィード上には徐々にボトルが投稿されつつあり、今後は飲んだボトルの情報交換にも一役買ってくれそうです。

 


4.課題や改善点について
アプリの基本的な流れを経験してみましたが、デザインはシンプルで、アプリの主たる機能の記録、管理、共有のうち、特に記録機能は直感的に操作が出来る完成度。最低限楽しんでいけるレベルの整備がされています。
一方、今のままではFacebook寄りのシステム過ぎるため、このアプリを使う強みがもう少しほしいところです。 
今後実装されてくるのだと思いますが、投稿されているボトルやBAR等の検索機能は最低限欲しいですし、テイスティングのまとめ方の工夫(数値化、イラストでの表現、地域での分類)や、個人の管理向けで点数や好みの傾向など、統計分析機能もあると嬉しいですね。

(テイスティング表現の一例、ウイスキーエクスチェンジから引用。)

また、雑談的な投稿やウイスキー以外のPR(例えば本やグッズの投稿、イベント開催など)をどう整理するかはポイントになりそうだと感じます。
雑談投稿が増えることは悪いことではありませんが、次第に"友の会"的になっていき、ボトルの記録が薄くなる恐れもあります。
交流アプリの側面もあるため何でもアリというのも考え方ですが、自分としては「ウイスキーの記録がメイン、そこから交流を広げるアプリである」として、ボトルの中身を記録しない投稿はバッサリ切ったほうが、Facebookと差別化出来ていいのかなと。 
登録ボトルの意図しない重複や、オールドボトルの整理なども今後課題になりそうですが、まだ先行公開ですのでそうした課題については触れず、様子を見ていきたいと思います。


その他の疑問としては、アプリの制作は慈善事業ではなく、ビジネスありきの話であり、今後ハイドアウトクラブ社がどのようにマネタイズするつもりなのかも気になりました。
利用規約を見ると、アプリの利用者は"投稿内容に関する著作権上の権利について、同社が無償で利用することを承諾する"旨の、食べログなどにも見られる記述もありますので、ウイスキーに関する多角的な情報を集約することで、今後の活動に繋げていく計画なのかもしれません。 
それこそ食べログみたいに情報が集まれば、ユーザーが選ぶボトル100選なんて企画も出来そうです。
しかしこの著作権の記述に関しては、現在ウイスキー関連で商業的な活動をされている方、将来なんらかの活動を展開しようとしている方々にとって、アプリ利用の障害になりえる可能性もあります。
ハイドアウトクラブさんは本アプリに関するPRを、3月6日のボトラーズフェスティバルでもブース出展して行う予定であるとのことで、この辺の話も含めてぜひ色々聞いてみたいと思います。

日本のウイスキー界にやっと登場したウイスキーアプリ。
いちウイスキー愛好家として、まずはその誕生を歓迎すると共に、今後の展開にも注目していきます。
(※掲載の情報は2016年2月22日時点までのものです。)