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WEST CORK 
Aged 10 Years 
Single Malt Irish Whisky 
(1st fill Bourbon cask) 
40% 700ml 
 
【ブラインドテイスティング】
地域:スペイサイド
年数:15年
度数:43%
樽:リフィルシェリー系のバッティング
 
グラス:創吉テイスティング
量:30ml程度
場所:BAR(TWDイベント)
時期:開封1~2か月程度
暫定評価:★★★★★★(6)
 
香り:チャーオーク系のニュアンスを伴う甘く華やかな香り立ち。洋ナシや煮たリンゴを思わせるオーク香に、奥には土っぽさと麦芽の白い部分。引っ掛かりなくスムーズ。
グラスにはリフィルオーク系のヌカっぽさと白ワインのような酸味が残る。
 
味:華やかでキャラメルやシロップ入りの紅茶を思わせる甘い口当たり。一呼吸置いてスパイシーな刺激もある。ボディは軽めで、中間からは蜂蜜や洋ナシなどを思わせるオーク香主体。
余韻はドライで樽材由来の生木っぽさと微かに木材の渋み、じわじわとした苦みを伴う。
 
2003年に操業したアイルランドのウエストコーク蒸留所の10年モノ。アイルランド産の麦芽と水で仕込んだアイルランド唯一(?)のローカルバーレイで、熟成はファーストフィルのバーボン樽が使われているそうです。
同蒸留所にはスプリングバンクの元マスターディスティラーがアドバイザーとして関わっており、ローカルバーレイの発想はスプリングバンク由来かもしれません。

ボトルを見てびっくりしたのがアイリッシュであったこと。オフィシャルのバッティング加水だとは思ったので、グレンフィディックの15年とかかな〜と予想していました。
アイリッシュモルトは製法由来か、ブッシュミルズに代表されるケミカル系の癖を伴うものが多いのですが、これはかなりスコッチ寄りの風味を感じます。
実際テイスティングしたメンバーも、全員がスペイサイドモルトという予想。スムーズで華やか、ボディは軽めで、樽系の癖をやや強めに感じるも、熟成感は年数以上にあって、よくまとまっていると思います。
 
アイリッシュはスコッチのような2回蒸留とは異なり、蒸留所毎に異なる製法を取っています。
そのため、この風味は製法由来の影響があるのではないか・・・とグーグル先生にお伺いをかけても、日本国内は情報が少ない。だったらオフィシャルサイトだと、英文覚悟で飛び込んでもこれまた恐ろしいほど情報がない(笑)。
わかったのは、10年のバーボン樽にはリチャードバーボン樽が使われているということくらい。
さらに調べて見ると、去年のスピリッツジャーナルの記事で、使う麦芽は糖化能力を高めたグリーンモルトであること、63%を上限にアルコールを抽出していること等がわかりました。
ポットスティルはジンなどにも使えるタイプで、実際にウイスキー以外のスピリッツも製造されていますが、スコッチ寄りの製法で作られていると言えそうです。
参考:http://spiritsjournal.klwines.com/klwinescom-spirits-blog/2015/5/11/more-on-west-cork-distillers.html

ちなみに、テイスティングに戻ると、構成樽がリフィルシェリー主体とか書いてます。
リチャー系の香味はとれていたのだから、ちょっと考えればわかりそうなのに・・・会の後半に入って疲れが出たか、今回のテイスティングは結構やらかしている気がします。

そういう背景もあり、このボトルはもう一回飲まないと評価はしづらく、もう少し時間が必要です。
今回テイスティングしたのは10年の加水ですが、カスクストレングスもリリースされている模様。こちらは製法さながら奇天烈な味だという話もあり、飲み直しもかねてカスクのほうも飲んでみたいと思います。