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LINKWOOD  
Kingsbury
30 Years Old
Distilled 1973
Bottled 2004
Cask No,14062
51.8% 700ml
評価:★★★★★★★(7!)

香り:熟成を感じさせるエステリーな香り立ちと艶のあるウッディネス。スモーキーでママレードや蜂蜜を思わせる甘さ。 徐々にアーシーなアロマも感じられる。

味:やや粘性を感じるとろりとした口当たり。アプリコットジャム、リンゴのカラメル煮を思わせる甘さ。徐々にピートの苦味が口の中を支配し、序盤のフルーティーさと合わさってオレンジピールと濃く入れた紅茶のよう。
余韻はハイプルーフらしくキレの良い甘さと微かなウッディネス。内陸系のピート由来のほろ苦いスモーキーさ。

昨年末に開栓したキングスバリーの旧ハンドライティングラベル。ちょうど良い感じに開いてきたので、ぼちぼちテイスティングをば。
自分はこのオールドスタイルのリンクウッドが大好きで、このボトルで通算3本目の開栓となります。今回はそうした自分の好みというウェートを冷静に評価したつもりですが、もっと高評価にしようか真剣に悩みました。 

リンクウッドは風味が変わるからと、熟成庫の蜘蛛の巣さえ払うことを禁止した逸話のある蒸留所です。しかし実際は、1970年代前半蒸留から大きく分けて2系統のリリースが行われているように思います。 
1つは、かつてのオフィシャルボトルのキャラクターでもある、芳醇でスモーキーな味わい。 所謂オールドスタイル。
もう1つは、花と動物ボトルや特にボトラーズに多い淡麗で華やかな味わい。
今回のボトルは前者ですが、1970年代後半蒸留から現代ともなると、ほぼ後者のキャラクターです。
このピーテッド、ノンピーテッドでは片付かないキャラクターの違いに一つ推論を挙げるなら、蒸留設備の違いがあるのではないかと考えています。

1971年、リンクウッドはそれまで使われていた蒸留棟を残しつつ、新しい蒸留棟を建設します。
そして古い蒸留棟をリンクウッドA、新しい蒸留棟をリンクウッドBとして、暫くは併用して蒸留を行い、その後蒸留のメインをリンクウッドBに切り替えています。
最終的にリンクウッドAは休止状態、1980年代はほぼリンクウッドBでの蒸留だったそうです。 
この頃のリンクウッドはボトラーズを中心に味わうことが出来ますが、上述のように華やかで淡い酒質となり、かつてのオフィシャルボトルとは随分キャラクターが異なっています。

当時はアメリカ市場等からライトなウイスキーが求められていた時代。99%がブレンド向けの原酒ですから、あえてそうしたキャラクターにしていたのかもしれません。
1990年代に入ると、1年間のうち1~2ヶ月間のみリンクウッドAが稼動するようになり、 直近では1999年蒸留のマネージャーズドラムから、はっきりと昔のキャラクターを感じる味わいがあって感動してしまいました。
この味が出てこなければ、原酒のキャラクターを変えただけとして納得だったのですが、蒸留所の遍歴が無関係とは思えず。推論の通りならこちらがリンクウッドAでの蒸留、あるいは稼働時期のものではないかと考えています。 
(リンクウッドAもBもニューポットは混ぜて使われているという説もあり、あくまで推測です。)


ちなみに、キングスバリーから2012年にリリースされたリンクウッド38年に、今回のボトルの隣樽No,14063が使われています。
隣樽ということもあって同じベクトルにある風味でしたが、さすがに8年長く熟成しているためか度数もパワーも落ちて穏やかな仕上がりです。こちらのボトルは持っているBARも多いと思うので、気になる方はまずこちらから。
その他にも旧ユニコーンラベルで46%加水版の24年が、同じハンドライティングラベルから32年、そして直近ではクリスタルデキャンタの40年までリリースされており、これらは樽番号が不明ですが多分近い樽をまとめて購入していたのではないかと思います。

最近各蒸留所からオフィシャルボトルのリリースが増えてきていますが、リンクウッドこそ復活して欲しいオフィシャルの一つ。ディアジオさん、よろしくお願いします!